戦国時代の華麗なる蹴鞠!朝倉氏の武威を垣間見る特別展が福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館で開催
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館では、2024年7月13日から9月1日まで、戦国大名朝倉氏の文化活動に焦点を当てた特別展「蹴鞠と庭が語る戦国」を開催しています。
本展では、越前国と深く関わりのある蹴鞠に注目し、朝倉氏に伝授された華やかな蹴鞠伝書などから、戦国大名に必須の教養とされた蹴鞠の実態に迫ります。
庭園から読み解く、戦国大名の武威
特別史跡一乗谷朝倉氏遺跡内の朝倉氏の当主館跡「朝倉館跡」は、発掘調査成果および史資料から戦国大名館の全体像を読み取ることができる、全国的にみても稀有な遺構です。
本展では、蹴鞠の舞台となる「鞠庭(まりにわ)」や、儀式・饗宴の舞台となった「広庭(ひろにわ)」などの庭に着目し、戦国大名の武威としての蹴鞠と庭を展示紹介します。
貴重な資料が多数展示!
展示の見どころとしては、以下の3点が挙げられます。
飛鳥井宋世蹴鞠秘伝書 (当館蔵・永正5年(1508)伝授・一巻): 天皇や公家、全国の戦国大名等の武士層に対し、和歌と蹴鞠を教えた「飛鳥井氏(あすかいし)」からの伝書で、のちの朝倉氏の4代当主孝景へと伝授された実物資料。蹴鞠の作法や技が十二条で著され、中には難度の高い技として知られる「延足(のべあし)」(スライディングキックに近いもの)等の項目もある。7月13日(土)~28日(日)の期間限定で、全面を一挙公開。
飛鳥井氏6代当主の紀行文と免状、鞠: 応永34年(1427)に越前の「天皇の宮」を訪れた飛鳥井氏6代当主の紀行文と、江戸時代前期に飛鳥井氏14代当主から天王宮(=天皇の宮)の宮司に伝授された免状、昭和6年(1931)に八坂神社(=天王宮)に飛鳥井氏27代当主が奉納した鞠から、越前と飛鳥井氏との関係性が、6代当主に至る、約500年に及ぶことが窺える。特に6代当主は、越前がふるさとであり、飛鳥井氏にとって越前は他国に比べて特別の存在であったと推察される。紀行文と免状、鞠は、初公開資料である。
花下蹴鞠之図 (木下美術館蔵・江戸時代制作・六曲一双): 桜の下で蹴鞠をする公家たちを描いた金屏風で、伝尾形光琳筆、紀州徳川家旧蔵の名品。桜は平安時代に特に好まれた植物で、江戸時代に至るまで描き続けられた画題の一つが、桜樹の下で蹴鞠に興じる場面。
蹴鞠を体感できるイベントも開催!
本展では、展示だけでなく、蹴鞠の歴史を深掘りしつつ親しめる関連イベントも多彩に展開されます。
記念講演: 7月21日(日)13:30~15:00 山本啓介先生(青山学院大学教授)による「越前朝倉氏の庭園における和歌・連歌と蹴鞠」講演会。
KEMARI×Freestyle Football: 7月27日(土)13:30~15:00 プロ・フリースタイルフットボーラーIbukiさんらによるパフォーマンス、イベント参加者による体験。
蹴鞠実演・体験: 7月28日(日)11:00~12:00、14:00~15:00 蹴鞠保存会による実演と、イベント参加者による蹴鞠体験。
*
記念シンポジウム: 8月10日(土)10:00~12:30 「庭園からみえる戦国大名の権威」をテーマに、越前朝倉館跡、豊後大友館跡、相模北条館跡の3事例を取り上げ、館を構成する庭園空間を通じて、戦国大名が必要とした権威の実態を探ります。
戦国時代の華麗な蹴鞠文化を体感できる貴重な機会です。ぜひ、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館へ足を運んでみてください。