2025年春闘の影響で賃金やキャリア意識が変化!
Indeed Japan株式会社が行った「春闘や賃上げの動きによる意識・行動調査」の結果が明らかになりました。2025年春闘において日本の平均賃上げ率は5.37%と、過去30年間で最高水準となっており、これは大手企業を中心に初任給の引き上げや月額賃金のベースアップを伴っています。しかし一方で、実質賃金は3年間連続して前年を下回り、物価の上昇が賃金の伸びに追いついていないという実情もあります。このような中、春闘の結果は労働者が自身のキャリアや待遇を見直すきっかけに繋がるとされています。
調査の結果、正社員の76.1%が2025年春闘の賃上げの動きを認知しており、約80%の人がその影響を受けて自分の賃金やキャリアプランについて再考しているということがわかりました。具体的には、キャリアパスを考える人が54.3%、転職を考える人が47.3%に達しています。
調査結果の主なポイント
この調査では、2025年春闘の結果を受けて、正社員の40.4%が自身の賃金、キャリア、働き方に関して行動を起こしたことが明らかになりました。具体的に行動を起こした人の中で、多くは自身の給与明細や人事制度の確認を行っており、特に33.6%の人が現在地の再確認をしていると回答しています。また、自社の給与水準以外に目を向ける行動を取る人も24.3%おり、転職活動や副業を検討し始めた人が存在します。
さらに、調査によると2025年春闘結果を知った人の73.5%が「企業はもっと賃金を上げるべき」と感じており、73.1%が「インフレや物価高に対して賃金は十分ではない」と考えています。
なぜこれほど多くの人が賃金や労働条件に関心を寄せるようになったのでしょうか?これは、春闘が労働市場における大きなイベントであるからです。 Indeedのエコノミストである青木雄介氏は、春闘による賃上げの波及効果が労働者の行動を促しており、これは市場全体に対する賃金上昇圧力として作用する可能性を示唆しています。
今後の見通し
日本の労働市場は、春闘の結果を受けた意識の変化が今後どのように展開するのか注目されます。調査では、2025年4月に実施されたトランプ関税による影響を懸念している労働者も多いことがわかりました。このような社会経済的背景を考慮することが重要になるでしょう。
労働者の期待形成やキャリアプランの見直しが進む中、企業が柔軟に賃金を見直していくことが必要です。日本における賃金上昇は春闘の存在に支えられている部分も大きいですが、長期的には労働市場全体の需給に敏感な態度が求められると言えます。
企業の人事担当者や経営者にとっても、従業員の声に耳を傾けることが、今後の人材確保や企業戦略において重要な鍵となるでしょう。