KADOKAWAの2025年3月期業績見通しと第1四半期決算
株式会社KADOKAWAは、2024年8月14日に2025年3月期の通期連結業績見通しおよび第1四半期決算を発表しました。デジタルの波に乗る同社ですが、最近のサイバー攻撃の影響が色濃く出ています。
通期業績見通し
2025年3月期の総売上高は271,300百万円と予測され、前年と比較して5.1%の増加が見込まれていますが、期初見通しと比べると動きは横ばいです。営業利益は15,600百万円が予定されていますが、これは期初の見通しを900百万円下回ることになります。
特に親会社株主に帰属する当期純利益は、9,700百万円と見込まれており、こちらも期初見通しより3,700百万円の減少が予想されています。この減少は、6月8日に発覚したサイバー攻撃の影響が大きいとされています。
攻撃の影響で、出版業務とWebサービスのセグメントが特にダメージを受けており、売上高で84億円、営業利益で64億円の減少が見込まれています。しかし高成長を続けているデジタルコンテンツやゲーム事業は依然として成長を続けており、全体の業績をカバーしました。特にゲーム事業では、話題のタイトル『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツが期待されています。
第1四半期の業績
2025年3月期の第1四半期の売上高は65,860百万円で、前年同期比で11.9%の増加を果たしました。営業利益は6,029百万円となり、前年比で84.5%の増加を達成しましたが、純利益は3,454百万円と10.1%の減少となっています。
サイバー攻撃による影響として、出版・IP創出セグメントで26億円、Webサービスセグメントで19億円の売上減少があったにもかかわらず、電子書籍事業の堅調な成長、アニメやゲーム事業でのライセンス収入が大幅な増収に寄与しています。
特に電子書籍や電子雑誌は、メディアミックス作品の販売が好調で、国内外での業況が改善しています。新刊も続々と販売され、これにより既刊の出荷部数の減少を補っています。
セグメント別の動向
出版・IP創出セグメント
サイバー攻撃の影響を受けつつも、電子書籍事業が業績を引っ張っています。特に、アジアや米国での海外市場が売上を押し上げています。しかし、既刊の出荷短縮が影響し、全体の収益は減少しました。継続的な投資は行っていますが、まだ苦しい状況が続いています。
アニメ・実写映像セグメント
アニメ関連のライセンス収入が前年同期の好成績を超えています。『ダンジョン飯』『この素晴らしい世界に祝福を!』といった人気タイトルが海外市場でも好調です。実写映像でも、映画の配信ライセンスが増収に貢献しています。
ゲームセグメント
『ELDEN RING』のDLCは、国内外ともに好調でした。本編のリピート販売も増えており、ゲーム市場は依然として強く、全体をけん引しています。
Webサービスセグメント
こちらは、はっきりとした打撃を受けています。ニコニコ関連のサービスはサイバー攻撃によって深刻な影響を受け、収益も減少しました。ただし、イベントのコスト適正化により、全体の収益性は改善が見込まれています。
教育・EdTechセグメント
KADOKAWAは教育事業でも新たな取り組みを進めています。「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」の設立が生徒数を増加させ、さらに堅調な推移を見せています。
まとめ
KADOKAWAは、サイバー攻撃という逆風に直面しながらも、業績は成長領域がカバーし続けています。特に電子書籍やアニメといったコンテンツビジネスが前向きに進んでおり、全体的な回復も2024年に期待されています。今後、引き続き安定した事業提供を目指し、消費者や関係者に安心感を与える努力を続けていく方針です。サイバー攻撃による混乱は経験を通じて学びを得る機会でもあり、その教訓を今後に活かしていくことが期待されます。