企業の新規立地意欲とその背景
最近発表された「2025年度新規事業所立地計画に関する動向調査」の結果が注目を集めている。この調査によれば、新規事業所の立地計画を持つ企業の割合はやや減少したものの、全体として企業の新規立地への意欲は依然として堅調であるという。
調査の概要
一般財団法人日本立地センターが実施したこの調査は、国内の製造業と物流業に所属する約20,000社を対象に、事業拠点の新設、増設、移転に関する意向を把握するために行われた。特に、今年度の調査は中小企業基盤整備機構の助成金を活用して行われた。
結果として、立地計画を持つ企業の割合は18.8%であり、これはCOVID-19パンデミック以前の2018年度と同じ水準である。これは、企業が新たな事業拠点を設ける意欲が依然として強いことを示している。
用地の選定要因
調査から明らかになったポイントの一つは、企業が立地環境において特に重視する要素があるということだ。これには「用地価格」や「交通アクセス」が7割を超えており、どちらも企業の運営にとって重要な要素であると理解できる。製造業では「災害リスク」や「豊富な労働力」が、物流業では「取引先・市場との近接性」が求められているという。
産業用地取得の課題
一方で、近年企業が直面している深刻な問題として、産業用地の取得が難航していることも挙げられる。特に物流業がその傾向に顕著であり、用地価格や候補地域に用地がないこと、さらには土地利用規制などが企業の用地取得を阻んでいる実態が浮き彫りになった。
この調査結果を受けて企業は、地方自治体に対していくつかの期待を寄せている。優遇制度の充実や、域内外の交通アクセスの向上、人材確保・育成の支援、さらには用地の受け皿の整備・供給に関する施策が特に求められている。
まとめ
このように、企業の新規立地計画は依然として強い意欲を示している一方で、用地取得に関する問題は解決を要する課題として浮かび上がっている。今後、自治体との連携や支援制度の充実が求められる中で企業は、経済活動を円滑に進めるための戦略を模索していく必要があるだろう。この調査から得られる知見は、今後の日本の企業活動において重要な指標を提供してくれることが期待される。