日本初の民間宇宙スタートアップが宇宙輸送の未来を切り開く「ASCA 1ミッション」の詳細

日本初の民間宇宙スタートアップが「ASCA 1ミッション」を発表

近年、宇宙産業の新たな波が押し寄せています。このたび、将来宇宙輸送システム株式会社（ISC）が発表した「ASCA 1ミッション」は、日本の民間宇宙スタートアップとして歴史的な試みです。本プロジェクトは、ISCが未来の宇宙輸送システムの確立を目指し、再使用型ロケットの実現に向けての重要な第一歩です。

ASCA 1ミッションの概要

「ASCA 1ミッション」は、ISCが開発中の再使用型宇宙ロケットの垂直離着陸試験を目的としています。すでに構想から3年を経ており、アメリカでの打上げが2025年内に予定されています。特に注目すべきは、日本国内の民間企業として初めての試みであり、宇宙輸送の高頻度化と低コスト化を目指す中核プロジェクトであることです。

今回の「ASCA 1.0」試験では、ロケットは高度0.1kmに到達し、着陸地点に誤差5メートル以内で着地することを目指します。この実験によって得られるデータは、将来的な宇宙輸送システムの実現に向けた重要な礎となることでしょう。

短期間での実証試験の実現

通常、宇宙ロケットの開発には数年の時間が必要ですが、ISCが採用しているアジャイル型開発体制が大きな要因とされています。開発と検証が段階的に行われ、フィードバックを即時に反映することで、短期間で実証試験体制が確立されました。この手法により、ISCはわずか1年で実験の準備を進めています。

未来を見据えた計画

今回の「ASCA 1ミッション」を皮切りに、ISCは将来的な実用化に向けたさらなる実験を計画しています。2027年にはサブオービタル飛行実験を行う「ASCA 1.1」、2028年には衛星軌道投入実験を行う「ASCA 1.2」を予定しています。段階的な進化を重ねながら、宇宙輸送システムを実用化するビジョンを持っています。

JFEエンジニアリングとの協業

さらに、ISCはJFEエンジニアリング株式会社との基本契約を結び、新たな開発拠点である「鶴見ベース」を設立しました。この拠点により、ロケットの製造および組立作業の高度化が期待されており、両社の技術が集結することで新たな宇宙産業の地盤が築かれつつあります。

代表のコメント

ISCの代表取締役畑田康二郎氏は、「ASCA 1ミッションは再使用型ロケットの開発に向けた大きな一歩です。国内で主要部品を開発し、米国でHadleyエンジンと組み合わせてロケットシステムを完成させるというグローバルな挑戦です」と語ります。

また、JFEエンジニアリングの専務執行役員戸田伸一氏は、「宇宙関連事業の展開を通じて、日本の宇宙産業の競争力を強化したい」と述べています。