ダイカンが挑む新時代の金属表現「FLUX METAL」
株式会社ダイカンは、伝統的なサイン製作の領域を超えて、新たなデザインの可能性に挑戦しています。1964年に大阪で創業した同社は、ラグジュアリーブランドや商業施設の空間づくりを精度高く支えてきた職人集団です。その高い技術力と誠実な仕事ぶりで培った信頼は、今や新しいコンセプトの実現へと繋がっています。これを受けて、ダイカンは2026年4月20日から26日までイタリア・ミラノで開催される「ミラノデザインウィーク2026」に初出展することを決定しました。
展示のメインとなるのは、革新的な金属表現「FLUX METAL」を用いたテーブル《FLUX TABLE》のプロトタイプです。このテーブルは、鏡面研磨された金属天板が液体のように波立つ独自のデザインが特徴です。60年以上にわたって積み上げてきたダイカンの精美な加工技術と、熟練の職人たちによる手作業が融合したことで生まれた新しい金属表現は、これまでのインテリアデザインの常識を打ち破るものとなっています。
「FLUX METAL」:金属の流動感
本展示の中心を成す「FLUX METAL」は、金属でありながらも流動感を感じさせる、まさに未視感を体現した素材です。この新たな金属表現に早くから感銘を受けたのが、CMF(Color・Material・Finish)デザインスタジオの株式会社FEEL GOOD CREATIONです。この新しい材料は、機能的な特性よりも美的表現に重点を置いています。従来の金属素材の可能性をさらに広げることを目指し、まるで液体のように波打つ異次元の感覚を提供します。
この革新には、高度な鏡面研磨技術が必要です。加工過程では、材料の断面が動き、均一な仕上がりを得ることがとても難しいのです。そこで、ダイカンの熟練職人の手仕事が重要な役割を果たします。最終的な仕上げは、ミクロン単位での精密さによってのみ完成するのです。このように、デジタル加工と人の手の温もりを融合させた、新たな時代の金属表現が実現しました。
《FLUX TABLE》:揺らぐ天板と揺るがない土台
《FLUX TABLE》は、デザインブランド130(ONE THIRTY)との共同作業により生まれた作品です。このテーブルの天板は、鏡面研磨されたアルミで構成されており、静止しているようでいて、光の反射によって流れるような表情を見せます。その反面、構造体は130の革新的な3D造形技術によって設計され、圧倒的な軽量化と丈夫さを兼ね備えています。この相反する二つの要素の組み合わせこそが、《FLUX TABLE》のデザインの基盤になっています。
美の思想:復元力(Resilience)
この作品は、現代社会が求める「完璧さ」や「安定」に対するメッセージを発信しています。天板の表面に触れると、わずかに乱れますが、それは決して欠陥ではなく、素材本来の自然な揺らぎを表しています。大切なのは、揺らいでもまた整うその力、つまり復元力(Resilience)です。このテーブルは、揺らぎを受け入れながらも、自然な状態に戻る力と美を提案しています。
共同デザインと展示
ダイカンの《FLUX TABLE》は、持続可能なデザイン思想を基に、130との協働によって誕生しました。部分的な修復から完全な再生まで可能なこの作品は、社会や環境との持続的な関係性を表現しています。展示される作品は、来場者の感覚を呼び覚まし、視覚的体験を通じて新たな思考を促します。
展示「Return to…」の概要
本展示「Return to…」は、五感を活性化させ、身体的な感覚を取り戻す体験の場です。ミラノの「Palermo 18」で行われるこの展示では、FLUX TABLEが生み出す未視感の世界を体験できます。
会期は2026年4月20日から26日までで、ぜひ足を運んでみてください。今後は、ダイカンが新たな素材と手法を通じて、空間デザインの未来を切り拓いていくことでしょう。