高齢者演劇『終点 まさゆめ』の魅力
岡山芸術創造劇場が手掛ける高齢者演劇『終点 まさゆめ』が、岡山・三重・埼玉の3都市で上演されることになりました。この作品は、高齢者が抱える「老い」や「死」というテーマを扱っています。この公演は、公益財団法人 岡山文化芸術創造がプロデュースし、著名な劇作家・松井周氏と演出家・菅原直樹氏のコラボレーションによるものです。
『終点 まさゆめ』は、2010年の演劇『聖地』から14年の歳月を経て再び観客の前に登場します。かつて安楽死や命の選別といった重いテーマを扱い、即興的な演出も取り入れながら、観客に深い問いを投げかけます。本作は、65歳以上の高齢者キャストをオーディションで選び、彼らの経験と独自の視点を反映させる形で製作されています。これは、高齢者演劇の新たな可能性を追求する試みでもあります。
様々なキャストが挑む
本作には、介護や演劇の経験を持つさまざまなキャストが名を連ねています。久保井研や菅原直樹をはじめ、オーディションで選ばれた石川佳代、井上洋子など、若手からベテランまでが一堂に会します。これにより、年齢や経験を超えたコミュニケーションが生まれます。
また、今回の公演は平田オリザの現代口語演劇から影響を受けた松井周氏の独特の演出スタイルが光ります。彼が生み出す舞台は、観客の心を掴むための要素が詰まっており、参加者にも深い印象を与えることでしょう。
時間を越えたテーマ
劇中のストーリーでは、近未来の惑星「まさゆめ」に向かう高齢者の乗客たちが描かれます。彼らは最後の日々を求めて宇宙船に乗り込みますが、突然のハプニングに直面します。船長の提案により、乗客の中から1人が船を降りることになり、乗客同士でその決定を下す会議が繰り広げられます。この設定は、老いや死という普遍的なテーマに大きく関わり、観客に深く考えさせる内容です。
この作品の最大の魅力は、演技自体が進行する「会議」という形式であり、観客を物語の中心に引き込むことです。演劇と観客の間に新たな絆を生み出し、観客自身が自らの人生について考える契機を提供します。
公演情報と今後の展望
公演は以下の日程で行われます:
- - 岡山:2024年11月29日(金)18:30、30日(土)14:00、1日(日)14:00
- - 三重:2024年12月21日(土)14:00、22日(日)14:00
- - 埼玉:2025年1月11日(土)14:00、12日(日)14:00、13日(月・祝)14:00
今後も、稽古を重ねる中で、劇団員たちの絆が一層深まっていくことでしょう。そして、3都市での上演を通じて、より多くの人々にこの重要なメッセージが届くことが期待されます。
この高齢者演劇『終点 まさゆめ』は、単なるエンターテインメントに留まらず、観客に老いと生についての考察を促す重要な作品になることでしょう。ぜひ足を運んで、感動と共に考えを深めてください。