コーン・フェリーが明らかにした2025年の働き方の未来
グローバルな組織コンサルティングファームであるコーン・フェリーが行った「Workforce 2025 Global Insights Report」は、労働者の本音が浮き彫りになる貴重なインサイトを提供します。本調査は、日本を含む主要国の15,000人以上を対象に、働く人々が求める変化や課題について検証しました。
調査方法
この調査は、2024年11月から2025年1月にかけて、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ブラジル、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オーストラリア、日本、インドの10カ国から多様な職種のプロフェッショナルを対象に実施されました。エントリーレベルからCEOまで、様々なバックグラウンドを持つ参加者が回答しました。
調査結果の要点
調査結果からは、特に注目すべき5つのポイントが浮かび上がりました。
1. 管理職の不足
企業が人件費を削減しようとした場合、管理職が真っ先にその対象となることが多いです。調査では41%の回答者が、自社の管理職層が削減されたと述べています。この影響で、上級管理職たちはより多くの業務を担わなければならなくなり、43%がインポスター症候群に陥っています。
2. 給与の削減
生活費が急上昇している一方で、給与はそのペースに追いついていません。結果として、70%の参加者が、現在の給与が生活費を賄えないことに不安を感じており、35%は自分のスキルに相応しい報酬を受け取っていないと考えています。
3. AIによる新たな秩序
デジタル・イノベーションの中心は、従来の強国からインドやブラジル、中東に移りつつあります。日本は調査の中で最もAIを活用できていない国の一つです。米国では61%がAIの影響に楽観的ですが、世界全体ではほぼ半数がAIによって自らの仕事が奪われることを懸念しています。
4. ハイブリッド勤務の難しさ
多くの国でオフィス勤務への回帰が進められていますが、実際には25%が完全な在宅勤務を希望し、48%がハイブリッドでの勤務を望んでいます。日本ではオフィス勤務希望が69.6%と最も高い中で、リモートワークを希望する声は53.8%に留まっています。
5. 世代間のコミュニケーションギャップ
ベビーブーマー、X世代、ミレニアル世代、Z世代の間にはコミュニケーションや価値観のギャップが存在し、特にZ世代の75%がこのギャップを感じています。この世代間の摩擦は「ガスライティング」とも呼ばれ、職場での協力を困難にさせています。
専門家の見解
コーン・フェリーの最高経営責任者、Lesley Uren氏は次のように語ります。「不確実な事業環境が続く中、従来の働き方が再定義される局面にきています。この変化の最前線では、企業が求める成長や安定と、従業員が求める仕事の充実やワークライフバランスとの間に大きなギャップが存在しています。」
結論
コーン・フェリーの調査は、これからの働き方のトレンドを示す重要なデータです。急速に変化する職場環境において、企業はこれらの本音に基づいて働き方を見直し、より良い労働環境を作り上げる必要があります。改めて、働く人々の声が企業の成長へと繋がることを期待しましょう。