移動式プラント導入で再生コンクリート生産の効率化へ
近年、社会的な要求として持続可能性が重視される中、建設業界でも環境負荷の低減に向けた取り組みが進められています。そんな中、株式会社奥村組と株式会社ケミカル工事が共同で開発した再生コンクリート「リ・バースコンクリート」の製造に関して、移動式プラントを用いた実証試験に成功しました。これにより、コンクリート廃材の効率的な活用が期待されています。
再生コンクリートとは
「リ・バースコンクリート」は、解体現場で発生するコンクリートがらを原材料として利用します。通常、これらの廃材を破砕し、新しい骨材を用意することでコンクリートを製造するのが一般的ですが、「リ・バースコンクリート」は、廃材を粗骨材としてそのまま使用します。このプロセスにより、新たな資源調達の必要が減り、CO2の排出量を抑制することができます。また、商標登録も済まされており、再生可能な資源としての地位を確立しています。
実証試験の実施
今回の実証試験では、移動式コンクリートプラント「モービル車」で「リ・バースコンクリート」の製造が行われました。このプラントは、車両に搭載されており、現場での設置面積が小さく、必要に応じて移動が可能という特徴があります。
試験では、コンクリートがらをクラッシャーで破砕し、添加剤や水を加えて製造。品質評価ではフレッシュ性状や硬化後の物性が確認され、従来の固定プラントに劣らない品質が確認されました。
コンクリートの再利用とその意義
近年、解体現場でのコンクリートがらの処理はますます厳しくなっており、再生砕石の主な利用先であった盛土や新道路工事は減少しています。そのため、コンクリートがらの受け入れができない地域もあります。こうした問題に対して「リ・バースコンクリート」は新たな解決策となりうるものです。
モービル車の利便性
モービル車を用いた製造方法には、多くの利点があります。
- - 小回りの利点: 従来の固定装置よりも小規模で設置できるため、現場のスペースが限られていても対応が可能です。
- - コスト削減: コンクリートの打設タイミングに合わせて製造を行えるため、材料輸送のコストが削減されます。
- - ロスの最小化: 連続式ミキサーを使用することで必要な量だけ製造が可能となり、材料の無駄を省けます。
環境への貢献と今後の展望
この新方式によって、期待されるのは環境配慮への貢献です。特に、排出されたCO2を吸着させるCCS技術の開発も同時に進められており、さらなるカーボンニュートラル実現が目指されています。
両社はこの技術の普及によって、持続可能な資源利用のモデルケースを築き、新たなビジネスチャンスを創出することを目指しています。
会社情報
- - 株式会社奥村組: 大阪市阿倍野区に本社を構え、総合建設業を営む。
- - 株式会社ケミカル工事: 兵庫県神戸市で特殊コンクリート工事などに取り組んでいる。
この新たな再生コンクリート技術「リ・バースコンクリート」に期待が寄せられる中、両社の今後の取り組みに注目です。