ベトナムでの農業由来カーボンクレジット創出セミナー
2025年6月30日、ベトナムのハノイでGreen Carbon株式会社が主催する農業由来のカーボンクレジット創出を目的としたセミナーが行われました。今回のイベントには、日本の農林水産省、シンガポール貿易産業省、ベトナム農業環境省の政府関係者が参加し、農業による温室効果ガス排出削減に向けた取り組みについて協議が行われました。
セミナーの背景と目的
Green Carbonは、東南アジアをメインに自然由来のカーボンクレジットを創出する活動を行っており、特にベトナムではAWD(間断灌漑)を用いた水田のメタン削減プロジェクトを進めてきました。2024年にはベトナム支社を設立し、すでに22の省とMOUを結ぶなどプロジェクトの展開を加速しています。本セミナーは、その活動の一環として、農業由来のカーボンクレジットの普及を目指すものです。
セミナーでは、JCM(日本の二国間クレジット制度)やコンプライアンスクレジットに関する詳細な説明を行い、参加者同士での活発な議論が行われました。国際的なカーボンクレジットの開発における協力関係を強化する目的も持たれていました。
セミナーの内容と登壇者
セミナーでは、Green CarbonのCOOが農業用カーボンクレジットの未来に関するビジョンを共有し、ベトナム農業環境省の専門家からは、温室効果ガス削減に向けた政府の取り組みが報告されました。また、ベトナム国立大学の代表者や、シンガポールの貿易産業省官僚も登壇し、それぞれの視点から国際的な炭素市場に関する意見が交わされました。
参加者には、三菱UFJ銀行や国連開発計画(UNDP)、世界銀行などの国際機関の代表も含まれ、60名以上の関係者が一堂に会しました。特にAWDプロジェクトの実施結果や、それによる米の収穫量の向上が強調され、国際市場への低排出米の輸出の可能性が期待されています。
具現化された成果と今後の課題
AWDを使用したプロジェクトでは、メタン排出量が55%削減され、米の収穫量は5%も増加しました。これにより、ベトナムの農家は国際市場での競争力を高めることができると期待されています。セミナーを通じて、農業炭素クレジット市場の発展には、政府と民間組織の連携が不可欠であるとの意見が一致しました。
また、今後は農業に関する法的枠組みの整備や、国際的な協力の拡大、デジタル技術を用いた排出量モニタリングの推進が提言されました。これを受けて、持続可能な農業と炭素市場への国際的な協力の道筋を広げるための情報交換も必要であると強調されました。
まとめ
今回のセミナーは、農業に関連する炭素クレジット市場の可能性を広げる重要な一歩となりました。各国の政府機関、企業、研究機関が収束し、持続可能な発展に向けた具体的な戦略を共有することができたことは大きな意義を持っています。今後もGreen Carbonは、カーボンクレジット市場の成長を支援し、地球環境の保全に貢献していく所存です。