戦後80年の美術展「戦争と子どもたち」
2025年11月から2026年1月の期間、東京都板橋区の板橋区立美術館で「戦後80年戦争と子どもたち」という展覧会が開催されます。この展覧会は、戦中・戦後を生きた子どもたちにスポットを当てた美術作品の数々を通じて、当時の厳しい状況と美術家たちの想いを探るものです。
子どもたちと美術の関わり
約80年前、日本の美術家たちは戦争の影響を受ける子どもたちをどのように表現していたのでしょうか。当時、物資が制限され、自由な表現が困難な時代に、美術家たちは子どもたちを希望の象徴として描き出しました。しかし同時に、彼らは「少国民」として育成される立場にもありました。子どもたちは出征する兵士を見送り、勤労奉仕に参加し、国家の戦力としての役割を果たす一員でもあったのです。
展覧会では、戦時中から終戦直後に制作された子どもをテーマにした作品だけでなく、子どもたち向けに提供された絵本や教科書、紙芝居などの印刷物も紹介されます。また、子どもたち自身が戦時中に描いた作品も展示され、観客はその時代背景とともに歴史を学ぶことができます。
美術展の詳細
この展覧会は、2025年11月8日から2026年1月12日まで、毎週月曜日を除いて開催されます。ただし、2025年11月24日(月・休)と2026年1月12日(月・祝)には開館します。入館時間は午前9時30分から午後5時までで、入館は午後4時30分まで可能です。観覧料は一般900円、大学生600円で、高校生以下は無料の特典があります。65歳以上や障がい者には割引もあるため、証明書を持参することが推奨されます。
関連イベント
美術展に関連するイベントも開催されます。講演会や対談が計画されており、参加は無料ですが、事前の申し込みが必要なものが多いです。たとえば、11月29日には「子どもたちの戦争」という講演会が行われ、作家でアーティストの小林エリカ氏が講師を務めます。また、12月7日には松本竣介の作品をテーマにした対談が予定されており、松本竣介の次男や美術館の館長が参加する予定です。
そのほか、絵本や戦時美術に関する講演も充実しており、多様な視点から子どもと戦争、そして美術の関係を探る機会を提供します。特に、講演会「戦時美術の『子どもたち』」では、千葉工業大学教授がそのテーマについて深掘りし、今も続く戦争の影響について考察します。
終わりに
「戦後80年戦争と子どもたち」の展覧会は、戦争を生きた子どもたちがどのように表現され、また支えられてきたのかを深く理解する貴重な機会となるでしょう。歴史を学び、美術を通して感情や文化に触れる素晴らしい時間を提供するこの展覧会に、ぜひ足を運んでみてください。