重版決定!『翠雨の人』の魅力
2023年7月30日に新潮社から刊行される伊与原新の新作『翠雨の人』が、戦後80年の節目に多くのメディアから注目を集め、発売前に異例の重版が決まったというニュースが舞い込んできました。この作品は、女性科学者・猿橋勝子の生涯を題材に、彼女の情熱的な研究と人生を描いています。
猿橋勝子とはどんな人物か?
猿橋勝子は、1920年に東京で生まれた日本初の女性科学者のひとりであり、理系の道を進む先駆者でもあります。彼女は東京府立第六高等女学校から日本初の女性のための理系専門学校に進学し、帝国女子理学専門学校を卒業後、中央気象台に勤務しました。そこでは、生涯の師となる三宅泰雄から指導を受けました。
特に注目されるのは、彼女が1954年に経験したビキニ水爆実験です。この実験による放射能汚染の実態を究明するために、彼女はその研究に取り組み、アメリカの主張とは異なる深刻な汚染状況を証明しました。この成果は、国際的な核実験の抑止にもつながったとされています。
また、1980年には「女性科学者に明るい未来をの会」を設立し、猿橋賞を創設。これは優れた業績を挙げた女性科学者に対して贈られるもので、勝子は女性科学者の地位向上に尽力しました。
『翠雨の人』のストーリー
本書では、紫陽花と雨を愛する少女が、なぜ雨が降るのかという素朴な疑問を抱きながら成長し、やがて伝説的な科学者になるまでの道のりが描かれています。勝子は若き日にはキュリー夫人にあこがれ、科学の道を選びました。戦時中には科学と戦争の関係に疑問を持ち続け、戦後は放射能問題に積極的に取り組みました。
「雨とは何だろう。なぜ降るのだろう」という疑問が、彼女の科学者としての人生の始まりでもありました。それが大きな転機になったのです。
著者の思い
伊与原新氏はこの作品を通じて、猿橋勝子の人生を一人の女性の視点から見つめ直し、彼女がどれだけ情熱的に科学に取り組んできたのかを伝えたいと語っています。「彼女の人生だけはこの手で書きたい」との思いは、彼女に対する深い敬意の表れでしょう。
書籍情報
- - タイトル: 翠雨の人
- - 著者名: 伊与原新
- - 発売日: 2023年7月30日
- - 造本: ハードカバー
- - 定価: 1,980円(税込)
- - ISBN: 978-4103362159
この影響力のある作品は、女性の科学者としての生涯とその功績を再評価するきっかけとなることでしょう。
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