日揮と住友商事、浮体式洋上風力発電のサプライチェーンを強化
2023年7月26日、日揮ホールディングス株式会社と住友商事株式会社は、浮体式洋上風力発電の領域で、浮体部材の設計から製造、納入までの協業に関する合意書を締結しました。この提携は、浮体式洋上風力発電のサプライチェーン構築に向けた大きな一歩として注目されています。
協業の目的と内容
両社は、自己の強みを生かしながら、生産と供給体制の低コスト化、効率化、量産化を目指します。その中で、以下の主要領域について協業の可能性を探ります:
- - 浮体基礎デザインを基にした詳細設計
- - 浮体部材の製造を行う鉄鋼系・造船系メーカーの開発、発注、製造管理
- - 洋上風力発電の拠点港への浮体部材輸送
この取り組みは、急速に拡大する洋上風力発電市場において重要な役割を果たすことが期待されています。
浮体式洋上風力発電市場の現状
浮体式洋上風力発電の発電容量は、2022年の約0.2GWから2050年には269GWへと大きく成長する見込みです。国際認証機関DNVの調査によると、2050年には年間約800基の新規建設が予測されています。このような背景の中、浮体部材の供給体制が確立されない限り、発電所の建設は遅れることが懸念されています。
日揮グループの取り組み
日揮グループは、2018年より洋上風力発電に特化した部署を設立し、この分野での進出を図ってきました。長期経営ビジョンとして掲げる「2040年ビジョン」では、エネルギートランジションを重点的に進め、浮体式洋上風力発電事業の拡大に取り組んでいます。
住友商事の投資戦略
一方、住友商事は長崎県西海市江島沖での発電事業コンソーシアムの代表企業として参加しており、洋上風力発電への積極投資を行っています。特に、重量物運搬船や風車への技術者派遣を行う会社に出資し、洋上風力発電分野での影響力を強めています。さらに、グループ企業の株式会社大島造船所と連携し、造船業で培った技術を浮体部材製造に応用する可能性についても模索しています。
今後の展望
日揮グループと住友商事グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、浮体式洋上風力発電の領域で多角的にサプライチェーンの構築を進めていく方針です。この協業は、洋上風力発電を通じた環境への貢献と、持続可能な成長につながることが期待されます。
今後の動向に注目が集まります。