関西の学習塾業界中途採用動向
関西を中心とした学習塾業界では、慢性的な講師不足が問題視されています。特に、経験豊富な講師の確保に苦戦する中で、株式会社サンクスパートナーズによる調査が行われました。この調査によって、関西の主要学習塾13社の中途採用の実態が明らかにされました。
調査概要
調査は2025年6月16日から8月7日までの間、メールや電話を通じて行われ、30拠点以上を展開する学習塾13社を対象にしました。これにより、業界全体の採用動向を可視化し、教育現場における人材需給の変化を捉えました。
採用状況の分析
中途採用計画の達成率
調査において、2024年度の採用計画に対する達成率は79.6%と報告されましたが、前年に比べて6.2%減少しています。特に集団事業部門は76.0%と、前年比で10.7%も落ち込んでいます。個別・衛星事業部門でも76.9%と、いずれの部門も採用計画を下回る結果となりました。
経験者採用の状況
2024年度のデータによると、集団指導事業部門では中途採用者のうち74.3%が業界経験者であり、前年より1.5%の上昇が見られました。個別・衛星事業部門では49.7%が経験者であり、前年よりも7%の増加となっています。こうした傾向は、業界全体で経験者の重要性が増していることを示しています。
採用意欲
採用意欲については高止まりの状態が続いており、2025年度の中途採用計画では69.2%の企業が採用増加を目指しているとのことです。また新卒採用でも84.6%の企業が同様の方針を示しています。特に業界経験者の採用を増やしたいと考えている企業は46.2%に達し、前年と変わらない結果となりました。
SNSの活用状況
オンラインコミュニティ、例えばLinkedInやX、Facebookなどを中途採用に活用している企業は38.5%に留まっており、53.8%の企業は未活用という状況です。この点では、今後のデジタル活用が課題であると言えるでしょう。
勤務条件の改善
勤務条件に関しては、53.8%の企業が賃上げを実施する意向を示し、15.4%が年間休日を増やす取り組みを行っています。条件の改善に積極的に取り組む企業が多く、今後の採用につながることが期待されています。
まとめ
今回の調査を通じて、関西の学習塾業界の採用意欲の高さや、特に業界経験者を重視する傾向が強まっていることが再確認されました。慢性的な講師不足を背景に、受験生の教育に貢献するために、学習塾各社が新たな試みに取り組んでいる姿勢が見受けられます。経験者を採用し、より質の高い教育を提供するために、今後も業界全体の動向に注目していきたいところです。