三菱電機の新しいパワー半導体モジュール
三菱電機株式会社は、産業用向けの新しいパワー半導体「LV100タイプ 1.2kV IGBTモジュール CM1800DW-24ME」のサンプル提供を2025年2月15日から開始すると発表しました。この新製品は、再生可能エネルギーの電源システムに特化した設計がされており、特に太陽光発電システムや蓄電池などのインバーターにおいて、低消費電力化と高出力化を実現します。
新IGBTモジュールの特長
新開発された第8世代IGBTを搭載したこのモジュールは、従来製品と比較して約15%の電力損失を低減しており、高速スイッチング動作に特化した設計がなされています。これにより、低消費電力化に寄与することが期待されています。IGBTの電力損失は、ノイズ発生の要因となるdv/dtを抑制するSDA構造を採用したことで、より高いスイッチング速度を実現しています。
また、IGBTとダイオードのチップ配置の最適化により、このモジュールは同じパッケージサイズながら、従来製品の1.5倍にあたる定格電流1800Aを実現しました。これにより、インバーターの高出力化にも貢献します。さらに、特に産業用として設計されたLV100タイプパッケージを採用しているため、多様なインバーター構成に対応することができます。
脱炭素社会への貢献
近年、環境問題に対する関心が高まっている中、脱炭素社会の実現に向けたキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が急増しています。この新しいIGBTモジュールは、再生可能エネルギーの導入が進む中で、特に重要な役割を果たすことになるでしょう。
三菱電機は、1990年にIGBTモジュールを発売して以来、その性能と信頼性が幅広く評価され、多くの分野での採用実績があります。現在もIGBTの開発に注力し、さらなる低電力損失化や高信頼性を追求しています。また、最新のIGBT技術には、ターンオフ時の過電圧を抑制するCPL構造も取り入れられています。
市場に対する展望
新しいパワー半導体モジュールの導入により、電源システムにおける発電・蓄電効率の向上が期待されます。市場のニーズに迅速かつ安定的に応えることで、省エネルギー化を推進し、GX(Green Transformation)への貢献を目指します。三菱電機は今後も、さまざまな分野でのパワーエレクトロニクス機器の省エネ化を加速させるとともに、持続可能な社会の実現に寄与します。
展示会への出展
新型IGBTモジュールは、2025年に行われる複数の展示会、包括的には「第39回ネプコンジャパン エレクトロニクス開発・実装展」にも出展予定です。この機会に製品に触れて、その高性能を実感していただければと思います。
まとめ
この新しいIGBTモジュールは、三菱電機の半世紀にわたる技術革新の成果であり、持続可能なエネルギー利用の促進に寄与するものとして期待されています。多様な用途に適応できるこの製品は、より効率的で環境に優しい未来を実現するための重要なステップとなることでしょう。