北海道初の大規模酪農プロジェクトがスタート
Green Carbon株式会社が、雪印メグミルク株式会社、北海道銀行と手を組み、画期的なプロジェクトを始めました。それは、家畜の排せつ物からJ-クレジットを創出する国内初・最大規模の取り組みです。このプロジェクトは、北海道を舞台にし、今後8年間で約11,500トンのクレジットを生み出すことを目指しています。この数字は、年間で約1,500頭分の牛が排出する温室効果ガスに相当します。
背景と目的
Green Carbonはこれまで、水田農業に重点を置いてJ-クレジットの制度を促進してきました。今回の酪農プロジェクトに至った背景には、自然由来のカーボンクレジットの多様な可能性を探るという意図があります。北海道では2024年に新しい営業所を設立し、酪農プロジェクトに特に焦点を当てていく計画です。
酪農業界の現在の状況を考慮し、Green Carbonは本取り組みを通じて、牛からの温室効果ガス排出を削減し、酪農農家の経済的支援にも寄与しようとしています。特に、雪印メグミルクは、創出されたJ-クレジットを購入する重要な役割を果たします。
業界の課題
酪農分野には、以下の3つの主な課題があります:
1.
GHG排出量の増加: 国内の酪農業は約1,500万トンの温室効果ガスを排出しており、特に乳用牛と肉用牛が主な要因となっています。
2.
飼料コストの高騰: 飼料の価格が過去16年間で2倍以上に上昇した結果、経営状態が厳しくなり、酪農家の数が半減しています。
3.
悪臭の問題: 家畜から発生する臭いが地域社会での課題となっています。特に大規模農家では、近隣住民からの苦情が多発しています。
J-クレジット創出の取り組み
プロジェクトは、「家畜排せつ物管理方法の変更」のプログラムを利用して、強制発酵設備の導入を行います。この方法により、家畜から出るメタンやその他の温室効果ガスの削減を図ります。
現在、約6割の農家が伝統的な発酵管理を行なっていますが、強制発酵設備の導入は多くの農家にとってコストが大きな障壁となっています。そこでGreen Carbonは、設備投資に必要なコストをカバーするプロジェクトモデルを提案し、農家が参加しやすい環境を整えています。
このプロジェクトは、農家の副収入にもつながり、地域経済の活性化にも寄与することが期待されます。さらに、カーボンクレジットの地産地消を促進させ、地域企業にもプラスの影響を与えることでしょう。
まとめ
この試みは、単なる温室効果ガス削減の手段ではなく、地域の酪農業界の持続可能な成長をサポートする重要なステップです。Green Carbon、雪印メグミルク、そして北海道銀行の連携により、北海道が国内の酪農業に新たな可能性をもたらすことが期待されています。今後もこのプロジェクトの進展に注目が集まることでしょう。