第61回文藝賞の受賞作品が決定
2023年8月21日、フォレストテラス明治神宮にて開催された文藝賞の選考会が行われ、待川匙の「光のそこで白くねむる」と松田いりのの「ハイパーたいくつ」の二作品が第61回文藝賞に選ばれました。選考を行ったのは、小川哲、角田光代、町田康、村田沙耶香の四名の選考委員です。
受賞作品の詳細
「光のそこで白くねむる」待川匙
待川匙は1993年に徳島県で生まれ、滋賀県で育ち、現在は北海道に住んでいます。彼女の受賞作「光のそこで白くねむる」は、400字×150枚の作品です。本作では、故郷を十年ぶりに訪れた主人公が、山間を走る電車に乗りながら過去の記憶をたどります。彼女が語りかけてくる「キイちゃん」の声を通じて、隔てられた彼岸と此岸の間にある思い出が引き出されていきます。時間の流れに対する独自の視点と抒情性が際立ち、静かな恐怖感や新しい詩情を醸し出す作品です。
「ハイパーたいくつ」松田いりの
松田いりのは1991年、静岡県に生まれ、現在東京都に在住しています。彼女の作品「ハイパーたいくつ」は、400字×129枚の内容で、迷惑をかける職場の存在として描かれる「ペンペン」が主人公です。彼女は職場での生きづらさや退屈な日常を反映し、壊れた心の声から生まれる様々な風景を描写しています。この作品は、リリカルな日常破壊小説として評価されています。
文藝賞の意義
「文藝賞」は1962年に創設され、以来多くの新人作家を世に送り出してきました。これまでの受賞者には、高橋和巳や田中康夫、山田詠美など、名だたる作家が名を連ねています。今年の受賞作もその伝統を受け継ぎ、次世代の創作に与える影響が期待されます。受賞作や選考過程に関する詳細は、10月7日発売の「文藝」冬季号に掲載されます。
受賞式について
贈呈式は11月中旬に明治記念館で行われ、受賞者には正賞と記念品、さらに副賞として50万円が授与されます。文藝賞の未来を占う2024年の受賞作品に向けて、多くの期待が寄せられています。
まとめ
文藝賞は河出書房新社の季刊文芸誌「文藝」を基に、毎年多くの作品が争われる文学賞です。受賞者が世に出ることで、次世代の文学シーンが活性化されることが期待されます。近日発表される次回の文藝賞にも是非ご注目ください。