M&Aに対する検討理由の多様化と企業の趨勢の変化
株式会社タナベコンサルティングが実施した「2025年度 M&Aの取り組みに関する企業アンケート調査」に基づき、近年のM&Aに対する企業の姿勢やその背景について考察します。この調査は全国の企業経営者や幹部を対象に行われ、M&Aに関する関心や実績に焦点を当てました。
1. 調査の概要
調査の結果、M&Aに関する検討や実施の傾向が変化してきたことが明らかになりました。特に、譲渡(売却)に対する関心が減少し、譲受(買収)への関心が高まる傾向が見受けられます。2023年から2025年にかけて、譲受(買収)の関心は明らかに上昇しており、興味のある企業の割合は過半数に達しています。
一方で、譲渡(売却)に興味を持つ企業は約1割にとどまっており、これはかつての調査結果と比べても顕著な変化です。
2. 譲渡検討理由の変化
企業が譲渡を検討する際の理由として、「後継者不在」がかつての過半数を占めていたのに対し、現在ではその割合が半減しています。現在の上位理由には、自社の成長を目的とした他社とのアライアンスや会社の再建が挙げられ、多様な動機が存在することが分かりました。特にアライアンスを通じた成長戦略が重視されています。
3. 上場企業と非上場企業の違い
調査報告によると、上場企業と非上場企業ではM&A人材の配置状況に大きな差が生じています。上場企業の半数以上が専門人材を配置しているのに対し、非上場企業では知見やノウハウが不足し、外部に頼る傾向が強いことが明らかになりました。
また、業績状況により、M&Aの方向性も異なることが観察されています。業績が良好な企業では譲受(買収)の関心が強く、逆に業績が不調な企業では譲渡(売却)を検討される傾向が見受けられました。
4. M&Aに対する懸念点
M&Aを進める上での懸念点については、上場企業が情報不足を挙げ、非上場企業は社内に経験者が不足している点が示されました。この問題は今後のM&A活動に影響を及ぼす為、対策が求められます。
5. M&Aの専門人材育成
調査結果を受けて、M&Aへの取り組みや人材育成がいかに重要かが改めて認識されます。特に、非上場企業における専門人材の配置や知識の蓄積が課題であり、これを解決するためには持続的な取り組みが必要です。
6. M&Aの選択肢としての自力成長
M&Aに対して関心がない企業の約7割が「自力成長を目指す」と回答しており、この傾向が高まっています。これは企業がM&Aだけでなく、内発的な成長も重視している証拠です。
結論
調査からは、M&Aに対する企業の関心や方針が変化していることが明らかになりました。企業が成功裏に成長するためには、外部環境の変化に応じた柔軟な施策が求められます。今後は、M&Aの戦略を見直し、専門人材の育成に注力することが不可欠です。企業が求める成長を実現するための最良の方法とは何か、真剣に考える時が来ています。