嚥下食における香りの新たな可能性
嚥下に不安を抱える方々の食事は安全性を優先しがちで、ミキサー食やペースト状の食事が一般的です。しかし、こうした形状では料理本来の見た目や香りが感じにくくなり、「何を食べているのか分かりにくい」「食事への意欲が湧きにくい」といった課題が浮かび上がります。そこで、株式会社三谷バルブは独自のスプレー技術「スプレーフード」を活用し、香りによる食体験の拡充に取り組んでいます。
BOVスプレーの特徴
BOV(Bag on Valve)スプレーは、内容物を袋の中に保持し、噴射剤と分離した状態で吐出できるため、内容物が空気に触れにくく、香りや品質を保持しやすいという特長があります。今回の取り組みでは、BOVスプレーを用いて食材や料理の香りをスプレーとして楽しむことで、噛む・飲み込むことに不安のある方々にも食事の楽しさを再発見していただくことを目的としています。
試食会の実施
試食会は千葉県の「カフェさんびお」にて、菜園料理家の藤田承紀シェフ、一般社団法人mogmog engineの協力のもとで開催されました。参加されたご家族に向けて、藤田シェフが考案した嚥下食メニューにスプレーフードを取り入れて提供されました。
メニューは次の3品です。
- - 苺とゆり根のムース
- - 橘オイル鶏肉とカリフラワーの煮込み
- - エルブ・ド・プロヴァンスオイルニョッキのトマトソース × バジルオイル
スプレーフードは、料理の表面に吹きかけるだけでなく、ピューレやマッシュ状の食材に混ぜ込むことも可能で、香りや油分を全体に行き渡らせることができました。藤田シェフは、「香りを足すだけでなく、料理を完成させる要素として使える」と評価し、これが新たな調理表現に繋がる可能性を示唆しています。
香りの影響
参加者のご家族からは、スプレーフードによって子どもたちの食事の反応が変化したとの声が集まりました。食べる前に香りを感じることで「これからおいしいものが来る」という期待感が生まり、食事への関心が高まる様子が見受けられました。また、口に含んだ後に感じる「レトロネーザル・アロマ」により、その料理のおいしさをより感じやすくなることも期待されています。
笑顔あふれる試食会
試食会の場では、香りが引き出す新たな食体験が多くの笑顔を生み出しました。藤田シェフは、「スプレーフードは料理を完成させる要素として非常に有用で、嚥下に不安のある方々にも食べる喜びが広がる可能性がある」と語ります。今後も困っている人々を幸せにする料理を提供していきたいと考えているとのこと。
会社概要
株式会社三谷バルブは、スプレー製品に使用されるエアゾールバルブやポンプ、スプレーの開発・製造・販売を手掛けています。日本で初めてエアゾールバルブの国産化に成功し、今では国内トップクラスの生産規模を誇ります。日常的に利用されるスプレー製品の背景を支える企業として、食や美容における新しい体験を提供し続けています。
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