陶器の再利用技術
2025-06-19 13:18:56

埼玉工業大学の新技術、環境に優しい陶器製弁当の再利用

埼玉工業大学の陶器製弁当容器再利用技術



埼玉工業大学(Saitama Institute of Technology)では、環境負荷を軽減しながら、陶器製の弁当容器を再利用する新たな技術を開発しました。この技術は、食後に廃棄される「峠の釜めし」の容器を資源として使用し、内装用タイルを製造するものです。環境対策が求められる現代において、再利用技術は循環経済の重要な一環となりつつあります。

技術開発の背景



「峠の釜めし」は、JR信越線横川駅で発売された有名な駅弁で、陶器の器が特徴です。創業138年を迎える株式会社荻野屋が製造しており、これまでに約1億8000万個が販売されました。この陶器の容器は、特に長い列車の旅のお供として多くの人々に親しまれていますが、使用済みの容器の回収率はわずか30%にとどまり、回収後に粉砕処分される現実があります。

この状況を鑑み、埼玉工業大学の本郷照久教授の研究チームは、廃棄物問題に着目し、未利用資源の有効活用を目指す新たなリサイクルシステムの開発に取り組んできました。

環境に優しい再利用技術



研究では、まず「峠の釜めし」の容器を分析し、その成分が石英(SiO2)とムライト(3Al2O3 · 2SiO2)で構成されていることが発見されました。これをもとに、メカノケミカル処理とジオポリマー化反応という最新技術を利用しました。具体的には、粉末状にした陶器に機械的エネルギーを加えることで非晶質化を促進し、そこにアルカリ活性剤を加えて60℃で反応させることで、内装用タイルとしての強度を得ることができるのです。これにより、従来必要とされる高温焼成を省略し、環境に優しい加工が実現しました。

開発の成果と今後の展望



開発によって得られたタイルの曲げ強さは、屋内用タイルとしての品質基準を満たしており、最大で48.3 N/mm²に達しました。この技術は、陶器だけではなく、耐火レンガや瓦など、シリカやアルミナを含むさまざまな材料にも適用可能であるため、リサイクルの可能性は広がります。

このように、本プロジェクトは廃棄物の新たな価値を見出し、SDGs時代に即した循環型社会への貢献が期待されています。今後は、さらなる研究を進め、様々な製品の開発を目指していく方針です。

参考情報



  • - 【埼玉工業大学工学部 生命環境化学科】
環境物質化学研究室

  • - 【株式会社荻野屋】
公式ウェブサイト

本研究成果は、2025年第72巻第1号の環境資源工学に掲載されるため、さらに多くの方にこの取り組みが周知されることが期待されています。


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会社情報

会社名
埼玉工業大学
住所
埼玉県深谷市普済寺1690
電話番号
048-585-6805

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