言葉が示す排外主義
2026-07-14 10:44:14

排外的ナショナリズムの芽生えを語る言葉の変遷の研究

排外的ナショナリズムの芽生えを測る言葉の選択



近年、東京理科大学の研究グループによる新たな分析が注目を集めています。この研究では、戦前の日本で発行された約30万件の新聞記事を対象に、排外的ナショナリズムの高まりを「言葉の選択」から定量的に検証しました。具体的には、外国の地名をどのように表記するかに着目しました。

研究の背景と目的



ナショナリズムが高まる中で国家間の対立が深まることが懸念されています。排外的ナショナリズムとは、国家が他国より優れていると考え、他国を排斥しようとする考え方を指します。この研究は、具体的にナショナリズムの高まりがどのように現れるのかを探ることを目的としています。

特に、外国地名の表記がカタカナ(例:ワシントン)で表されるのか、漢字を使った当て字(例:華盛頓)で表されるのかという言葉の選択が、排外的な意識をどのように反映しているのかを分析しました。

研究結果



研究の結果、排外的ナショナリズムが顕著に高まった時期は1941年のアメリカ・イギリスとの開戦時ではなく、5年前の1936年だったことが判明しました。この年は、日本国内での政治的な緊張が高まっていたこともあり、国際的な対立の兆しを捉える重要な時期です。

さらに、アメリカ・イギリスに対する地名の表記が頻繁に当て字となり、一方でドイツ・イタリアに対する地名はカタカナ表記で残される傾向があったことも明らかになりました。このことは、排外的ナショナリズムが全ての外国に向かうのではなく、敵と味方を明確に分ける現象であることを示しています。

確認された変化



研究チームは、特異スペクトル変換法を用いて、新聞全体の表記割合の変化を時系列で分析しました。この方法により、具体的にいつ、どのようなエポックに変化があったかを検出しました。また、1938年に国家総動員法が制定された直後には、一時的に排外意識が低下する動きもあり、戦時体制の強化が必ずしも排外的ナショナリズムを助長しなかったことが示されています。

今後の展望



この研究は、ナショナリズムや対外意識の変遷を定量的に把握する新たな手法として期待され、現代社会において国際的な対立や分断の早期検知につながる可能性があります。松本准教授は「世論調査が行えない時代でも、言語データからナショナリズムを分析する手法は、今後の研究にとって重要」と述べています。

このように、過去の歴史を振り返りながら、現代の国際社会の構図を理解するための手がかりを提供するこの研究は、多くの人々にとってアクセス可能な情報源となるでしょう。今後の進展も注目されています。


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