東京国立博物館で視覚障害者向けの新しい取り組みが始まる！

東京国立博物館が提案する新たなインクルーシブ体験

東京国立博物館は、視覚障害者を含むすべての人が楽しめる「東洋館インクルーシブ・プロジェクト」をスタートします。このプロジェクトは、博物館のコレクションをより多くの人に届けるために、サステナブルでインクルーシブな環境を整えようという取り組みです。

プロジェクトの概要

「博物館でアジアの旅」と題した企画は、2025年9月23日から11月16日までの期間中に開催されます。この中で、視覚障害者向けの様々な体験を提供します。具体的には、ハンズオン体験の実施、AI音声ガイドの導入、そして点字マップの配布を行います。これにより、全ての来館者が安心して楽しめる環境を整えることを目指しています。

特に注目されるのは、視覚障害者がアートを楽しめるよう工夫されたハンズオン体験です。参加者は、アート作品と直接触れることで、視覚以外の感覚を活用し、アートの魅力を感じられるようデザインされています。

AI音声ガイドの導入

また、「研究員の話したいこと、たっぷり聴けるAI音声ガイド」も展開されるため、視覚障害者の方々が展示作品の詳細をより深く理解できる機会が増えます。このガイドは、作品の形状や材質、技法について詳しく説明する部分が強化され、作品についての魅力を存分に引き出す内容になっています。

おしゃべりフリーな東洋館

さらに、会期中は「おしゃべりフリー」な環境を提供し、視覚障害者の方々がアテンドの方との対話を楽しめるような設計がなされています。これにより、作品を介したコミュニケーションが促進され、より楽しい鑑賞体験を実現します。

プロジェクトの背景

このプロジェクトの発起となったのは、公益財団法人日本パラスポーツ協会の河合純一氏の来館です。彼の評価を受け、さらなるクリエイティブな視点を取り入れた取り組みを進める決断に至りました。視覚障害者の方々が安心して来館できる環境の整備は、博物館にとっても重要な挑戦です。

視覚障害者と共に進める取り組み

全国的に注目されるこのプロジェクトは、最初のステップとして視覚障害者やアテンドの方向けの見学会を実施しました。実際にその意見を取り入れることで、どのような展示が求められているかを確かめ、改善点を見極めています。このような当事者との対話を重視したアプローチが、今後のプロジェクトの礎になっていくことでしょう。

未来に向かって

2028年には東洋館が開館60周年を迎えます。この節目を前に、東洋館が新たに挑戦するインクルーシブなプロジェクトは、今後さらなる発展を遂げることが期待されます。視覚障害者を含むすべての人が美術の世界に触れ合えるようなサステナブルな取り組みを、今後も続けていく方針です。このプロジェクトを通じて、アジアの文化や美術に触れることの楽しさを、より多くの方々に伝えたいと考えています。