歯科診療所における口腔内スキャナの導入ポテンシャル
はじめに
近年、デジタル技術の進化にともない、歯科診療においても様々な新しい技術が導入されています。その中でも、2024年度の診療報酬改定に伴い新設された「光学印象」という技術が注目を集めています。この技術は、口腔内スキャナを使用してデジタルデータを取得するもので、従来のシリコン印象材による方法とは大きく異なります。
「光学印象」とは?
「光学印象」は、口腔内をスキャンし、3Dデータを取得することによって歯型を採取する手法です。この方法は、患者にとってもストレスが少なく、また高い精度での印象採得が可能とされています。全国の歯科診療所の中でどのくらいがこの新しい技術を導入しているか、また今後の導入の可能性を調べるために、ミーカンパニー株式会社はデータ分析を行いました。
調査の背景と方法
2024年9月時点では、「光学印象」の届け出が確認できた施設は約8,983件で、全体の約13%を占めます。この調査は、全国の歯科診療所を対象に行われました。調査手法は主にウェブを介した情報収集で、地方厚生局や都道府県の公開データを基にしています。
調査結果
法人区分
まず、調査結果から、法人運営の歯科診療所が「光学印象」を届け出ている割合が約5割であるのに対し、未届け出の診療所では約8割が個人運営ということが明らかになりました。これは、法人経営の歯科医院が先進的な医療機器を導入する傾向にあることを示しています。
標榜診療科
次に、届け出をした診療所は、小児歯科や歯科口腔外科、矯正歯科など複数の診療科目を掲げていることが多く、なんと8割以上が3つ以上の診療科を標榜しています。一方、未届け出群はその半数にも達していません。
管理者の推定年齢と営業年数
また、届出群の院長の平均年齢は49.9歳であり、未届出群の57.7歳と比較すると8歳ほど若いことも判明しました。営業年数の平均も、届出群が16.9年に対し、未届出群は24.1年と、やはり新しい施設が多い傾向にあります。
外来患者数
外来患者数のデータを分析したところ、届け出をしている診療所の約4割が1日平均30人以上の患者を受け入れており、未届け出群の半数以上が30人未満という結果となりました。
施設基準
さらに、「光学印象」の届け出群には、医療安全対策や感染対策、手術用顕微鏡の使用等により、多くの施設基準が届出されていました。これらの基準をクリアしている診療所が「光学印象」を導入しやすいということが予測されます。
今後の展望
この調査から、将来的に「光学印象」の導入が見込まれる診療所の属性が抽出されました。特に、法人運営であり、3つ以上の診療科を掲げ、一定数以上の外来患者を持つ施設が有望です。これに基づき、医療機関がどのように新技術を取り入れていくのかが重要なポイントとなるでしょう。
まとめ
ミーカンパニー株式会社が収集したデータは、今後も地域医療の動向を把握する上で非常に重要です。新技術の導入が進むことで、患者にとって高品質で快適な医療が提供されることが期待されます。私たちは今後もデータ分析を通じて、地域医療の質の向上に寄与していきます。
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