明石市立文化博物館では、2024年12月13日から12月22日までの間、個人の記憶をテーマにしたコラボレーション展「親密な風景を拾う」が開催されます。この展覧会では、一般から公募された80組129点の写真が展示されるほか、現代美術作家である伊達伸明氏と山村祥子氏の作品もお楽しみいただけます。
今回の展覧会の特徴は、地域の魅力を再認識するための機会を提供することです。毎年異なるテーマで行われる写真公募展では、明石の風景や季節の移り変わりを通じて地域の文化を表現してきましたが、今年は特に「個人の記憶」に焦点を当てています。
来場者が持っている思い出や体験を共有することが求められており、この展覧会を通じてさまざまな記憶の断片が集まっています。作品は、日常的な出来事や風景、家族との思い出など、貴重な瞬間や場所を切り取ったものばかりです。これにより、現代の消費社会の中で失われがちな個人の記憶や感情が、鮮やかに再生されます。
展示作品の中で特に注目されるのは、伊達伸明氏の「建築物ウクレレ化保存計画」です。彼は取り壊される建物の廃材を使用してウクレレを制作し、元の持ち主にその作品を渡すというユニークなプロジェクトを続けています。その過程では、建物が持っていた記憶や歴史をウクレレを通じて新たに紡ぎ出します。
山村祥子氏は、主に不要な服に宿る思い出をテーマにした作品を展示しています。彼女は出会った人々から譲り受けた「いらない服」に、その服に関する記憶や思いを刺繍することで、服が持つストーリーを視覚化しています。これにより、衣服と持ち主の心情を結びつけ、人々の記憶を触発します。
入場は無料で、会期中は多くのイベントも予定されており、特にトークイベントやワークショップが来場者に思い出を語る機会を提供します。事前申し込みが必要ですが、これに参加することで普段の生活から忘れがちな記憶を思い出すきっかけとなるでしょう。
また、展示中にはトークイベント「風景を拾う話」が開催され、伊達氏が路上の風景の美しさについて語ります。参加者は街の中で見過ごしがちな日常の中に潜む魅力を再発見できる貴重な機会となります。
来館者は明石市立文化博物館で、新たな視点で日々の生活を振り返りながら、個人の記憶を大切にすることの重要性を感じることができるでしょう。さあ、私たちの身近な風景を一緒に拾い上げ、記憶を共有してみませんか?