2025年版エンプロイヤーブランド調査が示す、転職を考えるZ世代の新たな価値観
ランスタッド株式会社は6月4日、2025年度のエンプロイヤーブランドリサーチ日本版を発表しました。この調査は、働き手が雇用主に求める魅力や価値に関して、国内の3,637名からのデータをもとに行われました。調査結果からは、転職意向や理想とする雇用主像が明らかになり、特にZ世代の働く意識が需要されています。
転職行動の鈍化とZ世代の意向
日本における転職件数は前年比で3%減少し、転職意向も2%弱の減少がみられますが、Z世代に目を向けると、17%が近い将来に転職を考えているという結果が得られました。これは、他の世代と比較しても高い数値であり、Z世代が求める要素として「ワークライフバランス」の優先度が非常に高いことが明らかになっています。これに対し、既存の職場環境や報酬に対する不満が残る中で、彼らが求める職業環境とは一体何なのでしょうか。
理想の雇用主が求める条件
調査の結果、理想の雇用主として最も求められる条件には「魅力的な給与・福利厚生」が引き続き最優先されている一方で、2番目には「ワークライフバランス」が位置づけられました。特にZ世代は、給与よりも働きやすさを重視している傾向が顕著で、給与とワークライフバランスの両方を重視するオフィス・専門職とは異なるニーズを持っています。このような世代間の格差は、企業側にカスタマイズされた従業員価値提案(EVP)を求める必要性を浮き彫りにしています。
リスキリングと働き方の変化
加えて、リスキリングの重要性も指摘されており、特にオフィス・専門職層では50%がその重要性を感じています。Z世代はこの傾向が最も高く、自らのキャリアアップのために必要なスキルを学ぶことに積極的です。従って、企業がこのニーズに応えられるかが、今後の人材確保のカギとなるでしょう。
雇用主の公平性と評価
調査では雇用主の公平性についての意見も聞かれました。昨年に比べて雇用主の公平性指標に対する評価は改善が見られましたが、依然として肯定的に評価する働き手は三分の一に過ぎないことが明らかになりました。また、特にマイノリティグループに属していると感じる人々にとって、キャリアの前進に障壁があるとの意見が多く、引き続き改善が求められています。
AIと雇用の未来
さらに、AI技術の導入状況についても関心が集まっています。調査によると、AIを何らかの形で利用した経験がある従業員の割合は昨年から30%から41%へと増加しており、肯定的な意見も増えているものの全体的な評価は依然として中立的です。ミレニアル世代は、より日常的にAIを用いており、AI技術は彼らの業務において重要な役割を果たすと考えられていますが、Z世代は雇用の安定性に対する不安を強く表明しています。
結び
現在、企業にとって、働き手のニーズを的確に捉えた採用戦略が求められています。特に若い世代が求めるワークライフバランスやリスキリングの視点を取り入れることで、企業は従業員の維持や新たな人材の確保に成功するでしょう。2025年の労働市場がどのように変わるのか、今後の動向に注目が集まります。