オープンソース5G基地局「OAIBOX」が日本で販売開始!研究開発を加速させる革新的プラットフォーム
株式会社構造計画研究所は、ポルトガルのAllbesmart LDA社が開発したオープンソースソフトウェアベースの5G基地局「OAIBOX」の国内独占販売を開始しました。OAIBOXは、実験・研究用のオープンソース5G基地局をオールインワンパッケージで提供するサービスです。構造計画研究所は、これまでのソフトウェア無線技術などの研究開発で培ってきた知見を活かし、OAIBOXの国内展開や技術サポートを通じて、次世代無線通信技術の研究開発を支援していきます。
なぜオープンソース5G基地局が必要なのか?
移動体通信システムは4Gから5G、そして6Gへと進化を続けており、通信技術の仕様はますます高度化・複雑化しています。それに伴い、5G通信を模擬できるハードウェア・ソフトウェアの開発難易度も高くなり、次世代無線通信を担う研究者・技術者にとって、研究開発を行うためのプラットフォーム構築に多くの時間と手間がかかっているのが現状です。
近年、注目を集めているのが、OpenAirInterface(OAI)というオープンソースソフトウェア(OSS)です。OAIを実装したPCは、ソフトウェア無線機などの無線デバイスを接続することで、有線ケーブル上で5G信号の通信が可能になり、さらにアンテナを具備することで5G無線通信を実現できます。しかし、実際にOAIを実装するためには、安定した動作環境を構築するための高い技術的ハードルがありました。
OAIBOXが解決する課題
OAIBOXは、OAIベースの5G通信環境をオールインワンパッケージで提供するプラットフォームです。面倒な環境設定やチューニングが不要で、導入後すぐに安定した5G基地局を起動できます。これまで研究者・技術者が時間と手間を費やしてきた環境構築作業を大幅に削減でき、5G無線通信を使った様々な実験や研究に活用可能です。
OAIBOXの特長
OAIBOXは、以下の3つの特長を備えています。
1.
ソースコードを自由にカスタマイズ可能
OAIはOSSであるため、ソースコードを自由に改変して利用できます。5G NRに準拠した無線通信の実現方法が全てコードとして公開されており、学習や研究の題材としても最適です。ソースコードをカスタマイズすることで、実無線機を用いた概念実証までの期間を短縮できます。
2.
洗練されたGUI・動作安定性・充実したマニュアル兼コースウェアを提供
通信の様子が分かりづらい、安定動作するハードウェアや設定の組み合わせが限定的、利用にあたっての情報が整理されていないというOAIの課題を克服し、直感的でユーザーフレンドリーなOAIシステムとして利用できます。
3.
オープンソースコミュニティで開発が進むOAIに対する高い追従性
OAIは近年5G OSSの中でも特に規模が拡大し、3GPP[1]標準仕様対応と他システム連携が加速度的に進んでいます。構造計画研究所は2019年から最新版OAIの動向を追いつつ研究開発の実績と経験を重ねてきました。OAIコミュニティ[2]で世界トップクラスの貢献度を誇るAllbesmart社との強力なパートナーシップにより、ユーザーはいつでもOAIの最新機能を利用できる環境が提供されます。
OAIBOXのラインナップとサポート
製品ラインナップとして、OAIBOX 40 / OAIBOX MAX / OAIBOX O-RANの3種類を用意しています。
OAIBOXは、学習教材としての利用だけでなく、最先端の研究開発を行う研究者・技術者の高速なプロトタイピングを実現します。自動運転技術やNTN[3]の実現に向けた研究開発・実証実験や、5G/6Gの実験環境構築を手軽に行いたい大学・企業、無線通信機器ベンダーなど、多様な分野における研究開発を強力に支援します。
構造計画研究所は、OAIBOXをご購入いただいたお客様に、導入支援、保守、Q&A対応などを提供し、これまで培ってきた実績を活かしたスムーズな通信環境構築や、ユーザーが検討したいシナリオや通信方式を実現するための拡張開発についてのサポートを提供します。
OAIBOX販売開始記念セミナー開催
日本でのOAIBOX取り扱い開始を記念して、OAIBOXおよびOAI技術に関する特別セミナーを開催します。本セミナーでは、「OAIで加速する次世代通信技術開発最前線」をテーマに、国内唯一のOAI Software Alliance参加大学である京都大学の原田博司教授や、OAIBOXの開発元であるAllbesmart社の創業者 Paulo Marques氏による講演を通して、OAIを用いた最新の取り組みについてご紹介します。また、OAIBOXの実機をご覧いただける展示も予定しています。
この機会に、最新の次世代通信技術開発についての知識を深めていただければ幸いです。
セミナー申込サイト
構造計画研究所とAllbesmart社の連携
構造計画研究所とAllbesmart社は今後も連携を深め、次世代無線通信の研究開発支援を推進していきます。
会社情報
株式会社構造計画研究所
構造計画研究所は、工学知を用いて社会の諸問題の解決に挑む技術コンサルティングファームです。1956年に構造設計事務所として創業して以来、「大学、研究機関と実業界をブリッジする Professional Design & Engineering Firm」として、建設・防災、情報・通信、製造分野や意思決定支援など多様な領域に事業を拡げてきました。工学知をベースにしたエンジニアリングコンサルティングおよびプロダクツサービスの提供を通じて、複雑化する社会課題の解決に日々取り組んでいます。
会社ウェブサイト
Allbesmart LDA
Allbesmart LDAは、2015年に設立された、オープンソースのOAIプロトコルスタックを使用したソフトウェア定義の3GPP 5G NR実装に特化した技術企業です。教育、研究、実験のための世界有数のオープンソース5G/6GテストネットワークであるOAIBOXを開発し、事業を拡大してきました。OAIの利用を促進し、5G/6Gの実験とイノベーションを世界中に普及させることを使命としています。
会社ウェブサイト
[1] 3GPP:3rd Generation Partnership Projectの略。第3世代移動通信システム(3G)以降の移動通信システムの仕様検討と策定を行う世界的な標準化プロジェクト。
[2] Allbesmart社ならびに構造計画研究所は、いずれもOAI開発コミュニティであるOpenAirInterface Software AllianceのAssociate Memberです。
[3] NTN:Non Terrestrial Networksの略。陸・海・空・宇宙をシームレスにつなげる通信ネットワークシステム。