サーモフィッシャーが高性能Orbitrap質量分析計を発表
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社が、アメリカで開催された第59回ASMS年次会議で画期的な新製品「Thermo Scientific Orbitrap Elite」を発表しました。この新型Orbitrap技術は、最新の高電場機能を備え、240,000以上の優れた分解能を実現しました。これは、プロテオミクスやメタボロミクスなど、さまざまな研究領域での新しい可能性を提供します。
新技術の概要
新型のOrbitrap Eliteは、Thermo Scientificの既存の高速かつ高感度なイオントラップ「Velos Pro」と組み合わされており、さらに高度な信号処理技術も搭載されています。以前はフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)質量分析計でしか実現できなかった240,000の分解能を達成しているため、より複雑な分子分析が行えるようになります。
米国サーモフィッシャーのプロダクトマネージャーであるトーマス・モーリング氏は「この技術は、精密質量測定において新たな標準を提供します」と述べています。Orbitrap Eliteは、複数の新技術を融合させており、質量分析計ジオメトリーや信号処理、イオンビーム伝送において大幅な性能向上を実現しています。
特徴と利点
- - 最大分解能:240,000 FWHM以上(m/z 400)
- - 信頼性の高い定量結果を提供し、UHPLCとの互換性を向上
- - 驚異的な感度により、微量なタンパク質や代謝物でも正確に検出
これにより、包括的なプロテオミクス研究の新しい可能性が開かれています。また、Orbitrap Eliteは、トップダウンやボトムアップ方式のプロテオミクス試験にも対応し、ペプチド数の増加を可能にします。
メタボロミクスへの応用
この新技術は、メタボロミクスやリピドミクスの研究にも活用されます。高品質なスペクトル取得が可能で、ウエイトや代謝産物の明確な識別に貢献します。また、従来のシステムに比べて感度が大幅に向上しており、稀少なサンプル成分の検出が可能です。これにより、研究者は複雑な脂質の分析や多数の代謝産物の同時解析を実現できます。
会社の紹介
サーモフィッシャーサイエンティフィックは、医薬やバイオ企業から教育機関、公共機関に至るまで、幅広い分野に貢献しているリーディングカンパニーです。新型Orbitrap Eliteは、同社の理念に則り、科学の発展に寄与するための製品の一つとして期待されています。
最新の技術を駆使したOrbitrap Eliteは、今後の研究における重要な役割を果たすと考えられています。詳細はサーモフィッシャーの公式ウェブサイトで確認できます。