大阪・関西万博の新たな教育プログラム
2024年の大阪・関西万博で「いのちを高める」というテーマのもと、リネットジャパングループと大阪市教育委員会、株式会社steAmが連携し、探究学習プログラムを実施してきました。このプログラムでは、小学生たちが実際に使用していたGIGAスクールパソコンを教材とし、「パソコン解体ワークショップ」と称した特別イベントを開催しました。
フィールドリポート:パソコン解体ワークショップ
2023年7月25日、「いのちの遊び場 クラゲ館」にて行われた「廃棄パソコン解体ワークショップ」には、多くの来場者が訪れました。小学校6年生の児童が講師として、解体を通じて都市鉱山問題について学ぶ体験を共にしました。この取り組みは、放棄されたコンピューターが新しい知識へと生まれ変わる機会を提供し、参加者に環境意識を育む重要なステップとなりました。
参加者たちはGIGAスクールパソコンの解体を通じて、その内部に隠された部品や材料へ目を向け、廃棄物の価値を再発見する作業に取り組みました。中島さち子氏は、「子どもたちが自らごみの価値について考え、新たな視点を持つ良い機会であった」と強調しました。
教育委員会の期待と評価
大阪市教育委員会もこの取り組みに注目しており、担当者は「児童にとって親しみやすい授業であり、解体作業を通じてSDGsについて考えるきっかけを提供できた」と述べました。普段は「壊してはいけない」とされるパソコンを解体することで、子どもたちに新たな発見の場を提供し、学びの質を高めることに寄与しました。
未来への展望
このワークショップは、2025年度から始まるGIGAスクールパソコンの処分に向けて、教材の再利用の好例となります。全国には約950万台のGIGAスクールパソコンが存在すると言われ、今後の取り組みが期待されています。リサイクルやデータリテラシー教育を通じた探究学習は、教育現場での価値をさらに高める可能性を秘めています。
共同の力で広がる展望
今回の取り組みは、株式会社steAmが持つSTEAM教育の理念に則り、環境問題をテーマにした探究プログラムを広めるものともなっています。学校教育の枠を超えた地域の企業や専門家との連携も行われており、多角的なアプローチを通じて子どもたちの学びを深めていく計画です。中島氏は、将来的な展望として「子どもたちが自らの問題意識を育み、社会に対する意識を高めていくことが重要」と語ります。
アップサイクル楽器の演奏会
最後には、中島さち子氏が率いるKURAGE Bandと共に解体したパソコンパーツを使用した楽器を演奏するイベントも行われました。これにより廃棄物から生まれた楽器が実際に使用して音楽を奏でる様子は、リサイクルの新たな可能性を示す素晴らしいものでした。
このように、システマティックに環境教育を実施し、未来を担う子どもたちが持つ創造力と問題意識を育てる取り組みは、今後さらに全国展開されることが期待されています。