医療支援の危機
2024-11-20 18:19:20

ハイチにおける医療支援の危機:国境なき医師団が活動停止に踏み切る理由

ハイチの医療支援が直面する危機



ハイチの首都ポルトープランスにおいて、国境なき医師団(MSF)が医療活動を強制的に停止するという事態が発生しています。この決定は、最近の警察による暴力や脅迫が繰り返されていることに起因しています。MSFのスタッフたちは、恐怖にさらされながらも、医療支援を必要とする人々のために尽力してきましたが、状況が悪化する中、手をこまねいているわけにはいかなかったのです。

脅迫の実態



11月11日、MSFの救急車が襲撃され、少なくとも2人の患者が命を落としました。この事件を受けて、MSFでは警察からの暴力的な行為が続いていることを重視し、11月20日よりポルトープランスにある5つの医療施設での患者の受け入れを停止することを決定しました。活動の再開時期は未定であり、MSFはその状況に危機感を抱いています。

ハイチにおける活動責任者であるクリストフ・ガルニエ氏は、この状況に対して激しい憤りを表明しました。「MSFは危険な環境でも活動する意志を持っていますが、法を執行すべき警察自身が脅威となっているこの状況では活動を続けることは不可能です」と語っています。医療団体として、ハイチの人々の健康を守るために活動してきたMSFですが、このような状況に追い込まれてしまいました。

脅迫の連鎖



警察からの脅迫は、11月11日の襲撃以降、短期間に4件にも及びました。例えば、11月12日にはMSFの救急車が止められ、警官からは「スタッフを殺す」と脅されました。また、デルマ33号線では私服警官からの暴言もあり、さらにはトゥサン・ルーベルチュール大通り付近では、特殊部隊から「患者を殺す」と脅される事態が発生しています。このような脅迫が続く中で、MSFは「医療活動がこれほどまでに制限されたことは一度もなかった」と語ります。

影響を受ける人々



これまでもハイチのポルトープランス地区では、平均して毎週1100人以上の外来患者や、多数の急病の子ども、性暴力の被害者がMSFによって治療されてきました。しかし現在、すべての医療活動が一時停止となり、多くの人々が必要な医療を受けられない状況に置かれています。南部のポルタピマンにおける産科の活動は今後も続くものの、首都での医療支援の停止は多くの人命に影響を及ぼすでしょう。

忘れられた人々のために



MSFは今後もハイチの人々のために尽力し続けると表明しています。しかしながら、武装集団や自警団、警察からの安全が保証されない限り、ポルトープランスでの医療活動の再開は難しいと言わざるを得ません。この危機的な状況が改善されることを願うとともに、国際的な支援と注意喚起が求められます。医療が制限されたハイチで、少しでも早く安全に医療が提供できるようになることが切に望まれます。


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会社情報

会社名
国境なき医師団(MSF)日本
住所
東京都新宿区馬場下町1-1 FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
03-5286-6123

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