大日本住友製薬、うつ病治療薬「LATUDA」の米国における双極I型障害うつ病への適応拡大承認を取得
大日本住友製薬、うつ病治療薬「LATUDA」の米国における双極I型障害うつ病への適応拡大承認を取得
大日本住友製薬の米国子会社であるサノビオン社は、6月28日、統合失調症治療薬として販売されている「LATUDA(一般名:ルラシドン塩酸塩)」について、米国食品医薬品局(FDA)から、成人の双極I型障害うつ病に対する適応追加承認を取得したと発表しました。
今回の承認は、単剤療法とリチウムまたはバルプロ酸との併用療法の2つの投与方法について認められた、非定型抗精神病薬としては初の快挙です。
大日本住友製薬の多田社長は、今回の承認を「双極性障害によるうつ症状に苦しむ何百万人もの米国患者にとって重要なマイルストーン」と語り、米国市場だけでなく、世界市場におけるLATUDAの販売拡大への期待を示しました。さらに、日本国内においても、統合失調症に対する承認取得を目指した第III相臨床試験を実施中で、双極I型障害うつについても第III相臨床試験の準備を進めていると発表しています。
臨床試験の結果
今回の適応追加申請は、双極I型障害うつ病患者を対象とした2つの第III相臨床試験(PREVAIL 1試験とPREVAIL 2試験)の結果に基づいています。
PREVAIL 1試験はリチウムまたはバルプロ酸との併用療法、PREVAIL 2試験は単剤療法におけるLATUDAの有効性と安全性を評価しました。両試験とも6週間の投与期間で、プラセボ対照二重盲検法を用いています。
その結果、いずれの試験においても、LATUDA投与群はプラセボ投与群と比較して、投与2週目からMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)合計スコアに改善が見られました。6週目の時点で、統計的に有意かつ臨床的に意味のあるスコアの低下が確認されました。
さらに、Clinical Global Impression Bipolar Version, Severity of Illness(CGI-BP-S)スコア、反応率、寛解率、不安症状、うつ症状の自己評価、生活の質といった副次的評価項目においても、LATUDA投与群はプラセボ投与群よりも統計的に有意な改善を示しました。
有害事象
PREVAIL 1試験でLATUDA投与群で最も多く認められた有害事象(プラセボ投与群の2倍以上、5%以上)は、アカシジアと眠気でした。有害事象による試験の中止率はLATUDA投与群で5.8%、プラセボ投与群で4.8%でした。
PREVAIL 2試験では、アカシジア、錐体外路症状、眠気、吐き気、嘔吐、下痢、不安が最も多く認められました。中止率はLATUDA投与群で6.0%、プラセボ投与群で5.4%でした。
両試験とも、LATUDA投与群は体重、BMI、脂質、血糖コントロールにおいて、低い変化量を示しました。
専門家の意見
ケース・ウエスタン・リザーブ大学の精神医学教授であるJoseph Calabrese医師は、双極I型障害うつの治療法が限られている現状を指摘し、今回の承認を「双極性障害の治療に従事する者、既存の治療法で症状が軽減されない患者にとって重大な出来事」と評価しました。
サノビオン社のAntony Loebel氏は、LATUDAの薬理学的プロファイルや臨床試験の結果から双極性障害のうつ症状への有効性が示唆されていたと述べ、アンメットニーズへの対応として臨床試験を進めてきたと説明しました。今回の承認について、「有効性と安全性の確固とした臨床的根拠に基づいたもの」と自信を示しました。
双極性障害について
双極性障害は、激しい感情の起伏を特徴とする精神疾患です。米国では約1040万人の成人が罹患しており、その多くは躁症状よりもうつ症状を呈する傾向があります。双極性障害うつは、様々な身体疾患のリスクを高める可能性も指摘されています。
LATUDAについて
LATUDAは2010年に米国で統合失調症治療薬として承認され、2011年から販売されています。カナダでも2012年から販売されています。今回の承認により、双極I型障害うつ病への適応も追加されました。
まとめ
今回のLATUDAの適応拡大は、双極I型障害うつ病治療における大きな進歩と言えるでしょう。今後、世界各国での販売拡大が期待されます。
会社情報
- 会社名
-
大日本住友製薬株式会社
- 住所
- 大阪府大阪市中央区道修町2-6-8
- 電話番号
-
06-6203-5321