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一流アスリートがこだわるシューズの世界

2016年8月、青春出版社より発売された『一流はなぜ「シューズ」にこだわるのか』は、長年、数々のトップアスリートにシューズを提供してきた三村仁司氏による、シューズ選びの決定版です。本書では、オリンピックメダリストやプロアスリートがシューズに求めるもの、そしてシューズがアスリートのパフォーマンスにどう影響するかを、具体的なエピソードを交えて解説しています。

メダリストたちのシューズへのこだわり

本書では、野口みずき選手、高橋尚子選手、有森裕子選手といったマラソンメダリストのシューズ開発秘話が紹介されています。金メダル獲得に貢献したシューズには、それぞれの選手に合わせた細やかな工夫が凝らされていたことがわかります。例えば、野口選手は抜群のフィット感、高橋選手は軽さと安定性のバランス、有森選手は足への負担軽減を重視したシューズを履いていたと記されています。

さらに、イチロー選手や香川真司選手といった野球やサッカー界のスター選手も登場。イチロー選手は、スパイクにジョギングシューズのような軽さを求めていたこと、香川選手はボールコントロールを可能にする絶妙なフィット感を重視していたことが明かされています。これらのエピソードを通して、トップアスリートがいかにシューズにこだわり、パフォーマンス向上に役立てているかがわかります。

一般ランナーへのアドバイス

本書は、アスリートだけでなく、一般ランナーにとっても有益な情報が満載です。三村氏は、自身の経験に基づいて、アマチュアランナーが陥りがちなシューズ選びの誤解や、パフォーマンス向上のための具体的なポイントを解説しています。ソールが厚いシューズが良いという誤解や、適切な補強ポイントを押さえることでタイムが向上するといった実践的なアドバイスは、ランナーにとって必見です。

青山学院大学駅伝チームとの取り組み

三村氏は、青山学院大学駅伝チームのシューズ製作にも携わっており、その取り組みについても本書で紹介されています。チームの箱根駅伝連覇に貢献したシューズ開発の過程や、選手たちのフィードバックを元に、いかにシューズを改良していったかについて、詳しく語られています。これは、シューズ開発のプロセスを知る上で貴重な事例と言えるでしょう。

著者の三村仁司氏

著者である三村仁司氏は、1948年兵庫県生まれ。高校時代は長距離選手として活躍した後、オニツカ株式会社（現アシックス）に入社。その後、数々のメダリストやアスリートにシューズを提供し、2004年には厚生労働省「現代の名工」に選ばれるなど、シューズ職人として高い評価を受けています。定年退職後も、シューズ工房「ミムラボ」を設立し、現在も第一線で活躍しています。

まとめ

『一流はなぜ「シューズ」にこだわるのか』は、単なるシューズ選びの解説書ではありません。アスリートとシューズ職人の信頼関係、そして「あと1秒」「あと1ミリ」を追求するプロフェッショナルたちの仕事への情熱が感じられる一冊です。シューズを通して、アスリートのパフォーマンス向上、そして夢の実現に迫る感動的な物語と言えるでしょう。本書は、スポーツ愛好家、ランナー、そしてビジネスパーソンにとっても、多くの学びと刺激を与えてくれるでしょう。

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