ナス価格の実態とその背景
最近の調査によると、ナスの価格は過去2年間で約16%の上昇を見せています。これは、日本全国のスーパーマーケットで展開される「農家の直売所」を運営している株式会社農業総合研究所が実施した調査から明らかになりました。この調査では、2,000店舗以上の販売データを基に、ナスの収穫とその価格の動向を詳しく掘り下げています。
価格上昇の具体的な数字
調査結果によると、ナスの平均出荷価格は2025年の1月から3月にかけて250円を超え、過去最高値を維持しています。特に2025年5月の平均出荷価格は211円で、2024年5月と比べ約6%、さらに2023年5月と比較すると約16%増加しています。この状況は、最近の気候変動やコスト高騰の影響を強く反映しています。
高温がもたらす影響
愛知県豊橋市にある三代続くナス農家「小清水農園」のオーナー、小清水光さんは、ナスの価格上昇の裏には「猛暑による収量の減少」や「資材価格の高騰」があると説明しています。2024年には観測史上最高の高温が予測されており、2025年も猛暑が続く見込みです。この高温がナスの生育に与える影響は深刻で、品質低下を招く可能性が高まっています。
農家たちの取り組み
猛暑の中で、農家はさまざまな対策を講じています。たとえば、ビニールハウス内の温度を抑えるために、遮光材を使う生産者が増えています。しかし、これらのコストは高騰し、光熱費や肥料、人件費などは数年前の2〜4倍にまで上がっているのが現状です。これにより、経営が厳しくなっている農家も多いと言います。
高品質なナスを目指す小清水農園では、「とげなし輝楽」や「とろ~り旨なす®」など、独自の品種を育て、差別化を図っています。特に「とげなし輝楽」は甘みが強く、プロの料理人にも好まれ、広く流通しています。「とろ~り旨なす®」も肉厚で、独特な食感が人気を集めており、首都圏の百貨店でも取り扱われています。
見た目にも配慮
小清水農園では、商品価値を高めるために見た目にもこだわり、収穫から輸送までスポンジ付きのコンテナを活用しています。これにより、ナスの傷がつくことなく、鮮度を保って流通できるよう努めています。高温やコスト高騰に直面する中でも、独自の工夫を凝らすことで、安定した経営を続ける農家たちの姿が見られます。
まとめ
ナスの価格上昇は、猛暑や資材価格の高騰が大きく影響していますが、それに対抗するために多くの農家が努力しています。消費者としても、こうした背景を理解し、地元の農産物を応援することが重要です。