日本PE市場の展望
2025-06-05 11:12:26

2025年版日本プライベート・エクイティレポートが示す市場動向と成長の期待

2025年版日本プライベート・エクイティレポートが示す市場動向



2025年6月5日、ベイン・アンド・カンパニーが発行した『日本プライベート・エクイティレポート2025年版』によると、日本のプライベート・エクイティ(PE)市場は継続的な成長を遂げていることが示されています。2024年には、取引総額が3.1兆円に達し、これで4年連続で3兆円以上の規模を維持しています。これは、今後もさらなる成長の可能性を示唆しています。

市場の特徴と取引動向



最近のレポートでは、大型取引が増加し、1,000億円を超える案件が増えている点が注目されています。また、中でも3,000億円を超える取引も見られ、事業のカーブアウトや上場企業の非公開化が取引の主流となっています。2025年の第1四半期でも、取引額は過去2番目に高く、この流れの強さを感じさせます。エグジットの回復も顕著で、2021年の水準と同様の1.9兆円を達成しました。

しかし、長期保有ポートフォリオの問題は依然として解消されておらず、今後の対応が求められます。

規制とガバナンスの改善



ベイン・アンド・カンパニーのPE部門のパートナーであるジム・ヴェルベーテンは、日本のPEおよびM&A市場には加入する余地がまだあると述べています。特に、日本国内の中小企業が多様に分散していることが、PE投資の対象を広げている要因の一つです。また、政府や規制当局がガバナンスの強化や新しいM&A指針の導入を進めており、これが活動を活性化させています。

刺激要因と潜在的なリスク



短期的には、関税に関する問題などがPE市場に影響を及ぼす可能性があると、ベイン・アンド・カンパニーのセバスチャン・レイミーは指摘しています。需給バランスや為替の不安定性、貿易の流れの変化は、企業価値の見極めを難しくする要因です。こうした状況から、一定の取引停滞や遅延が発生する危険性も否定できません。

投資環境の魅力



その一方で、マクロ経済が不安定な状況でも、日本市場は高いリターン実績を誇り、機関投資家にとって魅力的な投資先とされています。他国では資金調達やエグジットの難しさといった課題に直面している中、日本市場においては、競争の激化や高い企業評価額、人材の確保といった新たな関心事が浮上しています。特に、海外のゼネラル・パートナー(GP)も日本市場への関心を強めており、ファンド規模の拡大が続いています。

今後の戦略



この競争が激化する中、ベイン・アンド・カンパニーは「価値創出への徹底したフォーカス」を強調しています。デューデリジェンス段階では、投資先の持つ潜在能力を見極め、改善施策を早期に実施することが求められます。保有期間中も柔軟な戦略運用を行い、企業価値の最大化を図る必要があります。特に、エグジットに向けては、18~24ヶ月前から戦略を整合させることが重要だと言われています。

日本PE市場の今後



大和梓パートナーは、現在の日本PE市場には政府の後押しや高い投資家の関心があることから、さらなる成長が期待できると述べています。しかし、この成長を実現するには、洗練された戦略、迅速な意思決定、そして価値創出に対する徹底したこだわりが不可欠です。これらの要因が揃うことで、日本のPE市場は引き続き注目を集めるでしょう。

会社情報

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