近年の就職人気企業ランキングの変遷と新たなトレンドについて
はじめに
株式会社学情が発表した「就職人気企業ランキング」の10年分のデータを元に、2024年の調査が示す企業選びのトレンドを探ってみたいと思います。就職活動を行う学生たちの嗜好や世の中の動きがどのように影響しているのか、具体的なランキングを見ながら解説します。
2017年卒の人気企業
2017年のランキングでは、トップに立ったのはANA(全日本空輸)で、旅行や航空関連企業が多くスポットライトを浴びていました。具体的には、2位に日本航空(JAL)、5位にオリエンタルランド、さらに6位にはJTBグループが名を連ねており、旅行業界の活況が伺える結果でした。また、金融業界も人気があり、3位に伊藤忠商事、10位に当時の三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)と商社や金融機関も上位に位置していました。あの頃の学生たちは、航空や旅行の世界で働くことに多くの魅力を感じていたのでしょう。
2017年卒〜2019年卒の傾向
2017年卒から2019年卒の3年間は、ANAが見事に3年連続で首位を逃さず、航空業界が絶大な人気を誇っていました。この時期の就職活動を行った世代は、おそらく自分たちの旅行やレジャーに関連する職種に魅力を感じ、特に航空関連の企業に対して熱意を持っていたと考えられます。オリエンタルランドやJTBグループも、高い関心を集めていました。
2020年卒以降の新たな顔
2020年卒から2026年卒においては、伊藤忠商事が首位を独占し、すでに7年連続でトップを維持しています。食品業界も依然として人気で、味の素やアサヒ飲料などが名を連ねています。また、この期間には任天堂や講談社、集英社なども、ランキングに常に名を連ねており、デジタルコンテンツの人気が浮き彫りになっています。特に任天堂は2021年から高順位を維持し続けていますが、これは今の学生たちがデジタルネイティブ世代であり、ゲームや電子コミック、ストリーミング動画といった新しいエンターテイメントを求めていることが影響しているのかもしれません。
10年間の変遷を振り返る
興味深いのは、10年間のランキングで唯一トップ10に入れ続けた企業が伊藤忠商事と味の素だけだということです。特に伊藤忠商事に関しては、近年も高い人気を集めており、毎年のランキングで安定した位置をキープしています。これらのデータは、企業側のマーケティングや求める人材像に変化があったことも反映しているのかもしれません。
おわりに
このように、過去10年間の就職人気企業ランキングを振り返ると、時代の変化や社会のニーズが色濃く反映されています。特にここ数年は、デジタルコンテンツを提供する企業の人気が急上昇しており、今後の就職活動にどのように影響を与えるのか注目が必要です。未来の選択肢を広げるためには、現状だけでなくこれからのトレンドも意識しておくことが大切です。