太鼓芸能集団 鼓童が、2024年冬に新作舞台『山踏み』を上演する。今回の作品は、韓国太鼓(チャンゴ)演奏家のチェ・ジェチョル氏をゲストに迎え、共同制作された。チェ氏の提唱する「歩みの中から生まれてくるリズム」をテーマに、鼓童メンバーは佐渡ヶ島を一年かけて一周する「太鼓ウォーク」を実施。四季折々の風景や自然を肌で感じながら、創作活動を行ってきた。
『山踏み』の見どころは、佐渡ヶ島の景色や自然から生まれた音、そしてコロナ禍で生まれた新しい郷土芸能である大阪府交野市の「サエキ囃子」を取り入れたことだ。サエキ囃子は、五穀豊穣と無病息災を願う芸能で、鼓童研修所で共に夢を追っていた佐伯篤宣氏とチェ・ジェチョル氏が携わっている。
さらに、鼓童の人気演目「三宅」や「大太鼓」に加え、新作のために作られた新曲も披露される。新曲も、身体に馴染む感覚や懐かしさを感じさせる楽曲となっている。
演出を担当するのは、鼓童の舞台メンバーである住吉佑太氏。住吉氏は、チェ氏の提唱する「歩みの中から生まれてくるリズム」を、鼓童の「身体性、音楽性、精神性」という三本柱と融合させ、新しくも奥深い作品を生み出したいと考えている。
『山踏み』は、鼓童の伝統と革新を感じられる、心揺さぶる舞台となるだろう。
チェ・ジェチョル氏と鼓童メンバー、佐渡ヶ島の鼓動を奏でる
チェ・ジェチョル氏は、「一歩一打。土地を歩いて太鼓を叩いていると、ふと『境界線』が無くなる時があります。」と語る。太鼓ウォークを通して、鼓童メンバーも、自分と他者、太鼓の音と自然の音との境界線が曖昧になるような感覚を体験したのではないだろうか。
『山踏み』では、佐渡ヶ島を歩むことで生まれた、鼓童メンバーそれぞれの発見が、どのように表現されるのか注目だ。
鼓童、世界へ発信する伝統芸能の力
鼓童は、1981年のデビュー以来、世界50カ国以上で公演を行い、伝統芸能を現代に蘇らせる活動を続けてきた。近年では、初音ミクやMIYAVIとのコラボレーションなど、活動の幅を広げている。
『山踏み』は、鼓童がこれからも世界へ発信していく、伝統芸能の力を感じられる作品となるだろう。