大日本印刷が教育データ活用サービスをスタート
大日本印刷株式会社(DNP)は、教育データを活用した新たなサービスを11月に提供開始します。このサービスは、学校の日々のテスト分析を中心に、紙とデジタルの学習データを統合し、可視化することで、教師の指導や児童・生徒の主体的な学びを支援するものです。
サービスの概要と目的
この新しい教育データ活用サービスは、自治体や学校の教育データ基盤、学習eポータル、デジタル教科書、教材などと連携し、児童・生徒一人ひとりに合わせた多様な学びを提供します。DNPは既に神奈川県相模原市を含む全国12の自治体で実証を開始しており、学生約5万5千人を対象にその効果を検証しています。今後、対象地域を拡大する予定です。
開発の背景
文部科学省が進める「GIGAスクール構想」により、全国の学校で望ましい学習環境が整備されつつあります。しかし、「自分で学校の勉強をする自信が無い」という意見も多く、自律した学びにおいて課題が残る現状があります。これを受けて、DNPは教育データを活用し、教師や児童・生徒のニーズに応えるための新しいサービスの開発を進めてきました。
新サービスの特長
1. ハイブリッドな学習記録の統合
本サービスでは、児童・生徒が受けるテストの分析を通じて、彼らの強みや弱みを理解する手助けをします。テスト結果に項目反応理論(IRT)を用いて、その分析結果を基に日常の学習データも取り込みます。これにより、紙のワークシートやデジタルドリルなどさまざまな形態のデータを一つのプラットフォームで視覚化することができます。例えば、児童・生徒は自分の学習の進捗を確認し、復習や今後の学習計画を立てる際に活用できます。
2. 自律的な学びを支援
児童・生徒は、本サービスのデータをもとに自分の理解度を振り返り、優先的に見直すべき分野や問題を確認できます。振り返りの結果を教師に提出することで、教師からのフィードバックを得て、より自律的に学び進めることが可能です。これにより、自らの学びに責任を持つ姿勢を養うことが期待されています。
3. 教師の指導を支える分析ツール
このサービスは教師にも強力な支援を提供します。教師は児童・生徒ごとの学習データを分析し、各児童に合わせた指導方法や面談での具体的なアプローチが可能となります。時間的制約に悩む教師にとって、個々の進捗を把握するための貴重なデータを提供します。
4. 学習コンテンツとの連携
DNPはレノボやその他のパートナーと協力し、GIGAスクール端末に様々な学習リソースを提供していく構想です。これにより、テスト結果を基にした学習履歴の可視化を進め、児童・生徒の個別指導に活かすことが目指されています。現在、例えば教科書に基づく内容を振り返る「単元まとめチェック」や電子図書館へのアクセスが可能となるコンテンツが用意されています。
未来の展望
DNPは今後、教育データの標準化に向けた取り組みにも参加し、さまざまな教育系の事業者と連携することでデータの相互運用性を高めていく予定です。このような取り組みを通じて、国や自治体、そして学校における教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、持続可能な教育環境を整備していきます。
DNPは、教育界におけるさまざまな問題に対し、高度な技術と長年の経験を活かし、進化し続けています。これにより、教師の授業支援や児童・生徒の自律的な学びの促進を実現する革新的な教育データ活用サービスの展開に期待が寄せられています。