中小企業業況判断DIが3期連続で低下した背景と影響
『独立行政法人中小企業基盤整備機構』が実施した最新の『中小企業景況調査』によると、2025年1-3月期の業況判断DIが
▲21.4という結果を示し、これまでの3四半期にわたって連続して低下しています。この調査の結果は今後の経済・産業の動向を考える上で重要な指標となります。
業況判断DIとは?
業況判断DI(Diffusion Index)は、企業が自社の業況をどれほど好転または悪化していると感じているかを示す指標です。通常、DIが0より大きければ業況は好転しているとみなされ、0より小さいと悪化していると解釈されます。今回のデータでは、
製造業、サービス業、建設業、卸売業、小売業など、ほぼ全ての産業で業況が厳しいと感じていることがわかります。
各種業態の状況
特に業種別の分析では、製造業の業況判断DIが
▲20.8(前期比0.6ポイント減)で3期連続の低下を示しました。非製造業では、サービス業が
▲18.4(前期比6.2ポイント減)、建設業が
▲14.8(前期比5.1ポイント減)、卸売業が
▲16.2(前期比2.5ポイント減)、小売業は
▲31.2(前期比2.0ポイント減)と、どの業種も厳しい状況です。特に、小売業は著しい落ち込みを見せており、消費者の購買意欲に何らかの影響を与えているのかもしれません。
原材料・商品仕入単価DIの上昇
一方で、原材料・商品仕入単価DIは全業種で
70.4(前期比1.0ポイント増)という高水準を維持しています。これにより、業況は厳しいものの、原材料価格は安定的または上昇していることが示されています。このことは、企業にとってコスト管理が必要な時期であることを示唆しています。
調査の概要
この調査は、2025年3月1日に実施され、商工会や商工会議所の経営指導員が訪問面接で回答を集めました。対象となったのは、中小企業基本法に基づく全国の中小企業で、合計18,758社から有効な回答を得て、94.1%の回答率を誇っています。
中小企業景況調査の重要性
中小企業基盤整備機構が行うこの調査は、四半期ごとに実施され、日本国内の中小企業の実態を把握するための重要な資料源となっています。約80%を小規模事業者が占め、うち50%が個人事業主という日本の中小企業において、このような調査は企業経営における基礎データを提供し、施策の立案に寄与しています。
結論と今後の展望
中小企業の業況判断DIが低下することで、企業の経営方針に影響を与える可能性があります。これに伴い、中小企業基盤整備機構は、このデータをもとにより具体的な支援策や施策を検討していくでしょう。経済全体にとっても、小規模企業の動向は重要な指針となるため、今後の改善を期待したいところです。