日本初の医療ウェアへのデジタル製品パスポート導入
福岡県嘉穂郡の株式会社ワーキングハセガワが、同じく福岡県飯塚市の株式会社chaintopeと連携し、医療ウェアブランド「sukui」にデジタル製品パスポート(DPP)を実装しました。この取り組みは、日本国内における医療ウェア分野での初の試みであり、製品の環境負荷やサプライチェーン情報を透明化する新たな一歩となっています。
DPPとは?
DPPは、製品が製造されてから廃棄されるまでの過程での環境情報を一元的に管理・開示するシステムです。EUでは2027年以降、この制度の導入が予定されていますが、sukuiはそれに先立ち、自社の基盤を整えることで、先進的な取り組みを行っています。特に、医療現場での透明性が求められる中、このDPPシステムは画期的なアプローチです。
スマートフォンで簡単アクセス
2024年7月に開始された実証実験を経て、2025年7月には全製品へのDPP実装が完了します。これにより、すべての製品にはQRコード付きのDPPラベルが付けられ、スマートフォンを使って簡単に環境情報にアクセスできるようになります。医療現場向けに最適化されたこのシステムは、持続可能性の面でも大きな前進を遂げます。
CO₂排出量を「見える化」
sukuiでは、各製品のライフサイクルアセスメント(LCA)に基づき、CO₂の排出量と吸収量を明示しています。特に、KINGDOM TEXTILEのヘンプを使用することで、栽培段階で大量のCO₂を吸収し、製品自体が「カーボンネガティブ」を実現しています。これにより、環境に悪影響を与えないだけでなく、積極的に環境保護に寄与する製品基準を確立しました。
製品別CO₂環境収支(kg-CO₂)
| 製品 | CO₂排出量 | CO₂吸収量 | 差引(吸収量-排出量) |
|---|
| -- | -- | -- | ------ |
| トップス | 6.15 | 12.49 | -6.34 |
| パンツ | 8.68 | 17.60 | -8.92 |
国際的な基準を視野に
sukuiのDPPシステムは、特に信頼性が求められるデータをブロックチェーン技術を用いて保存し、その他の情報を効率的に管理するハイブリッド構成を採用しています。これは、EUの先進的な取り組みと同様の構造を持ち、今後の法制度変更にも柔軟に対応できる設計です。また、表示を日本語・英語・中国語の3言語に対応させることで、国際的にも透明性を持った情報提供を実現しています。
持続可能性を追求する製品設計
sukuiは、製品の設計段階から持続可能性を考慮し、環境負荷の低い素材を用いています。主にKINGDOMのヘンプを使用することで、資源の利用にも配慮され、農薬や大量の水を必要とせず、環境に優しい製品を開発しています。また、サーキュラーエコノミーを踏まえた製品設計を行い、修理や回収、堆肥化までを見越したモデルを構築しています。
今後の展望
日本国内でも、経済産業省が2024年に「環境配慮情報開示ガイドライン」を発表するなど、環境配慮型の製品開発への動きが加速しています。sukuiのDPPは、そうした制度に対応しながら、ブランドとしての信頼性と国際競争力を高めるための革新的な取り組みです。地域の技術と知恵を結集したこのプロジェクトは、地方からアジアを経て、さらには世界を動かすサステナブルなイノベーションの先駆けとなることを目指しています。
sukuiは、未来のスタンダードを形成するための第一歩として、医療ウェアのサステナビリティを進化させ続けます。