変化する金融環境を映し出すFSA、分析ノートの新たな発表
金融庁(FSA)が2025年2月4日に発表した「FSA分析ノート 2025.1 vol.2」は、金融機関のビジネス環境と利益構造が変化するなかで、経済や市場の動向をデータを基に理解することの重要性を強調しています。この分析ノートは、金融システム全体の抵抗力や脆弱性を正確に把握するために、金融機関それぞれの事業環境を理解する視点を提供しています。
基礎データの重要性
金融庁は、トランザクションレベルの融資データや個別企業の財務データなど、詳細なデータの活用に注力しています。この取り組みから生まれた事例を集めたのが「FSA分析ノート」という一連のレポートです。今回の号では、共有借り手に対する借り手分類および地方銀行の住宅ローン属性についての二つの分析が行われています。
1. 共有借り手の借り手分類の分析
この研究では、複数の銀行が融資する「共有借り手」に対する借り手分類(内部格付け)について、コモンデータプラットフォームから収集した融資データをもとに分析しています。分析結果は、地域外(都道府県を超えた)融資や主要銀行が債権者に含まれる場合、借り手の財務状態の影響を調整しても「正常」と評価される可能性が高いことを示しています。これにより、地域外の融資に対する考え方や評価基準が見直される必要があることが浮き彫りになりました。
2. 地方銀行による住宅ローンの属性
別の分析では、地方銀行が提供する住宅ローンの詳細を明らかにし、地域ごとの金利タイプや水準の違いが確認されています。また、融資ごとの取引量や期間が増加傾向にあり、これはリスクの高まりにつながる可能性があると指摘されています。
データの利活用を目指して
データを金融監督および政策決定において活用していくことは、中長期的な課題であり、金融庁は引き続きデータ分析能力やデータ基盤の構築を進めていきます。本レポートに記載されている数値や表は、金融庁によって作成されたものであり、信頼性のあるデータ分析を基にしています。
連絡先
金融庁 マクロ金融安定性・データ戦略室
電話: +81-(0)3-3506-6000
Eメール: datastrategyoffice[at]fsa.go.jp
今後も、FSAの取り組みから目が離せません。金融環境の変化に伴い、データ利用の重要性はますます増しており、我々はその進展を注視していく必要があります。