ベルカント発声法がストレスを軽減する可能性とは

近年、メンタルヘルスの重要性が認識される中、ストレス管理の手法として注目を集める「ベルカント発声法」。この発声法が、実際にストレスを軽減させる効果があるのかを探るための調査が行われました。その結果、合唱団のメンバー20名のうち85％に当たる17名が、ストレス量を示す数値が20以下であることが確認されました。特に、最も低い数値を記録したメンバーは15.60という結果でした。

この調査では、ELSYS JAPAN社が開発した「Mental Checker」を用いました。これは10万人の感情分析データを基にしたソフトウェアで、ストレス量や攻撃性、カリスマ性など、10項目の感情を分析し、たった1分間の動画撮影で可視化することが可能です。

調査に協力した一般社団法人サルバベルカント・アソシエーション・ジャパンの代表、峯川知子氏は、世界的バリトン歌手アントニオ・サルバドーリから指導を受けた唯一のコレペティトールです。彼女は、「ベルカント発声法は、横隔膜を使った腹式呼吸を活用し、あくびをする時のように口を開けることで、リラックスしやすい状態を作り出す。そのため、高音を表現するためには、リラックスすることが不可欠」と語ります。これが、ストレス軽減に繋がる要因であると考えられます。

また、脳神経外科医で抗加齢医学の専門家である菅原道仁氏（菅原脳神経外科クリニック）は、今回の調査結果についてコメント。「合唱団の方々は好きなことをしているため、ストレス感が低い傾向にある。歌うことでストレスを感じることは少ないだろう。しかし、声楽未経験者への調査が行われた際に同様の良い結果が出た場合、そのデータには興味がある」と述べました。

さらに、呼吸を使って表現するオペラは、実際に体を動かす運動と同じように、健康維持にも大きな効果があると指摘しました。今回の調査は少人数を対象とした初歩的なものであり、サンプル数が限られているため、さらなる詳細な調査が必要であることも明らかに。未来には、被験者の年齢や性別など、さまざまなフィルターを掛けてさらに深いデータベースを構築することを目指しています。

これらの分析と見解から、ベルカント発声法の普及が、意外な形でストレス軽減に寄与する可能性が示唆されています。これからの調査結果に注目が集まります。