先発医薬品の選定療養化がもたらす影響と患者の反応

日本の医療における先発医薬品（長期収載品）の選定療養化は、大きな変化をもたらしています。この制度が2024年10月から導入されることになり、患者が後発医薬品ではなく、希望した長期収載品を処方してもらう場合、定められた医療費の自己負担が求められる仕組みです。具体的には、対象となる後発医薬品の中で最も薬価の高いものとの価格差の4分の1を負担しなければならず、影響がどのように現れるかが注目されています。

日本システム技術株式会社は、独自のメディカルビッグデータ「REZULT」を用いて、選定療養化前後の状況を調査しました。調査データは約1,000万人を対象にしたもので、医療機関における処方動向から患者の使用率、負担の変化まで幅広く分析されています。これから、調査結果について詳しく述べていきます。

1. 選定療養化前後の対象品目処方患者数の変化

調査の初めに、選定療養化が導入される前後で対象品目の処方状況がどう変わったのかを見ていきます。全体として、選定療養化導入前には37.3%の患者が長期収載品を処方されていましたが、導入後は30.0%と7.3ポイントの減少が確認されました。特に低年齢層の0-4歳や5-9歳においては、15ポイント以上の顕著な減少が見られ、この影響を大きく受けています。これは、選定療養での費用負担が助成金の対象外であるため、患者にとって直接的な負担増加とともに、医療現場においても慎重さが求められることを示唆しています。

2. 選定療養化前後の後発医薬品使用率の変化

次に、選定療養化導入前後の後発医薬品の使用率を改めて調査しました。結果は、選定療養化後の2024年10月以降、後発医薬品の使用率が大幅に増加していることが明らかとなりました。これは、医療機関が医薬品を見直す機会が提供されたことを反映していると言えるでしょう。特に後発医薬品の使用率は、院内と院外の両方で上昇傾向が見られ、一部の医療機関では患者の負担減少のために後発医薬品を推奨する動きも強まっています。

3. 選定療養化後の患者負担の変化

最後に、選定療養後の患者負担状況について調査しました。対象品目の処方患者のうち、選定療養費を負担に同意したのは約13.7%にとどまります。この負担額は、対象品目の処方を希望した患者において、医療上必要と認められた場合と比較し、平均で767円の負担増となっています。このデータは、患者がどのような条件で医薬品を選んでいるかを理解する手がかりとなります。特にヒルドイドなどの医薬品は、前年と比較して処方される割合が大幅に減少しており、患者負担が増える中でも選定療養化の影響が如実に現れています。

日本システム技術株式会社は、今後も後発医薬品の使用促進に向けた取り組みを進め、医療の質向上に寄与していく所存です。さらに、この調査を通じて得られたデータを活用し、各医療機関や患者が直面する課題に向き合っていくことが急務です。引き続き、医療業界の動向を注視し、柔軟に対応していきたいと思います。