FATFが提案するAML/CFT基準改訂案の詳細と影響について
FATFによる新たな基準改訂案
金融活動作業部会(FATF)は、2023年11月5日に「AML/CFTおよび金融包摂に関するFATF基準の改訂案」と題する市中協議文書を公表しました。この文書は、AML/CFT(マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策)に関連する取り組みを進めるための重要なステップです。この改訂案は、金融包摂を促進しつつ、管理面での意図しない影響を未然に防ぐために策定されています。
改訂の目的
この改訂案の主要目的は、金融包摂を進めるためにFATFの勧告1及びその解釈ノート、さらには勧告10と勧告15、およびこれに関連するGlossaryの定義を見直し、それらの整合性を確認することです。これにより、AML/CFTの基準を遵守しながら、多くの国々が金融サービスを一層利用しやすい環境を整えることが期待されています。
FATFの役割と体系
FATFは1989年に設立され、資金洗浄対策の国際協調を進めるための枠組みを提供してきました。特に2001年の米国同時多発テロ事件以降、テロ資金供与対策にも力を入れています現在のFATFメンバーはG7を含む38カ国・地域であり、国際的な金融システムの健全性を保つために重要な役割を果たしています。なお、ロシアのメンバーシップは現在停止中です。
市中協議の重要性
今回の改訂案に対しては、12月6日までコメントを受け付けており、多くのステークホルダーからの意見が集約されることが見込まれます。金融機関、政府機関、さらには市民社会の声を取り入れることで、より実情に即した内容にしていく計画です。コメントはFATFの公式メールアドレスにて受け付けています。
結論
FATFのこの取り組みは、AML/CFTの基準を改訂することで、金融包摂を促進することを目指しています。これにより、より多くの個人や企業が金融サービスにアクセスしやすくなり、結果として経済全体の健全な成長につながると期待されています。公開された文書は、FATFのウェブサイトでも確認できますので、関心のある方はぜひご覧ください。