中堅・中小企業に迫る経理の課題とその解決策とは

中堅・中小企業における経理の現状

近年、中堅・中小企業の経営者たちは、経理作業の属人化に悩まされています。この問題は、企業の成長と共に浮上し、経営の効率化を妨げる要因となりつつあります。本記事では、こうした実情を詳しく掘り下げ、必要な対策を見ていきます。

調査の目的

本調査は、主に中堅・中小企業に焦点を当て、人手不足や働き方改革、さらに会計・法務面の制度整備に関する実態を明らかにすることを目的としています。この具体的な結果は、経営者に対して有用な情報を提供し、今後の経営戦略に役立ててもらうためのものです。調査には1,690社が参加し、その内625社からの回答を受け取っています。

経理作業の実情

調査の結果、自社内での経理作業が行われている法人は全体の80%以上を占めており、特に仕訳入力や経理内容の入力に関しては多くの企業が自社で処理しています。しかし、その一方で経理作業に関する悩みも浮き彫りになりました。具体的には、「知識の属人化による弊害」や「月次・決算に時間がかかる」といった問題が挙げられています。特に企業規模が大きくなるにつれ、これらの課題は顕著になっていることが分かりました。

経営者からの課題

永長正士氏（一般社団法人山田経済・経営研究所理事長）は、「財務経理は企業の基盤を支える重要な役割を担っている」と述べており、企業のさらなる成長にはIT活用による自計化が求められます。自計化とは、自社内で仕訳入力を行い、試算表や決算書を作成するプロセスを指します。このプロセスを合理化することで、経理作業の負担軽減やミスの発生を防ぎ、業務全体の効率化につながります。

IT活用と人材育成

IT化が進む中、経理業務のデジタル化や自動化は大きな課題となっています。また、それを支える人材育成も忘れてはなりません。経営者は自社のニーズに応じたITツールの導入を検討するだけでなく、従業員のスキルアップを目指した教育プログラムの実施も重要です。これにより、経理業務が属人化せず、組織全体の知識が共有される環境を整えることができます。