中国市場への化粧品進出を考察する「China Beauty Summit 2019」レポート
2019年12月17日、東京のベルサール六本木で開催された「China Beauty Summit 2019」には、予定を大幅に上回る400名が参加し、日本における中国市場への関心の高さが伺えました。JBA(一般社団法人日本美粧協会)の代表理事、郑 文杰氏は開会の挨拶で中国市場の可能性について触れ、「私たちは日中の架け橋となることを望みます」と述べました。このイベントは、中国の美容市場に関心を持つ日本の企業にとって、今後の展開を見据える重要な機会となりました。
セッション内容の概要
第一部: 中国のビューティー市場
この部では、中国美容博覧会(CBE)の副主席、桑 莹氏が中国の美容市場の現状を解説しました。また、RED華南の曹 盈氏は、人気プラットフォーム「RED」におけるコスメマーケティングの手法について具体的な事例を交えながら紹介しました。
第二部: メーカーと店舗から見る販売手法
尼尔森中国の唐 東氏が消費データに基づく消費者動向を分析し、続いてJBA理事の張 健偉氏がオンライン市場で成功する化粧品の特徴とその販売手法について講演しました。
第三部: 一般貿易を通じた中国への化粧品販売
この部では、華僑マーケターの陳暁夏代氏がモデレーターを務め、オルビス株式会社の元木正城氏、中国化粧品チェーン「亿莎」の創業者・会長井岩氏、妍丽CEOの朱虎誠氏がパンディスカッションを行いました。討論ではKOL(キーピニオンリーダー)を活用したブランド戦略や、中国美容・化粧品BtoB市場への進出方法など、多角的な視点から意見が交わされました。また、2020年に予定されている中国美容博覧会CBEのスタートセレモニーも行われました。
視察と市場の背景
イベント翌日の12月18日から19日には、中国のトップ化粧品小売企業の代表者らが日本の化粧品メーカーと小売店を視察しました。最終日には、銀座ロフトを見学し、日本製コスメのニーズに対する興味深い反応が見受けられました。2日間を通じて中国企業のバイヤーたちは、日本の製品選びや陳列方法に対する質問を熱心に行い、国際ビジネスにおける意識の高さが伺えました。
中国市場の成長と日本製品の需要
2018年のデータによれば、中国の化粧品小売総額は2,619億元に達し、日本における同市場の約2.5倍に成長しています。特に、中国での化粧品の25%が輸入品であり、さらにそのうちの15%が日本製品であることからも、中国市場の重要性が際立ちます。日本製品に対する中国の消費者の関心は高まっており、JETROの調査によれば、「化粧品・美容」のカテゴリーで「日本」と答えた割合は40.4%に達しています。
今後の展望
日本の化粧品メーカーが中国市場に進出する方法として、越境ECやインバウンド、ソーシャルバイヤーが牽引役として注目されていますが、BtoB卸販売の手法もリスクが低く、高いコストパフォーマンスを求める企業には魅力的です。「China Beauty Summit 2019」は、日本の化粧品ブランドが中国進出を検討する際の重要な情報源となることを目指しました。日本と中国の美容市場における新たなビジネスチャンスを追求するための架け橋として、今後もこうしたイベントの重要性が増していくことでしょう。
一般社団法人日本美粧協会について
一般社団法人日本美粧協会は、日本の化粧品メーカーが中国市場にスムーズに進出できるよう、さまざまなサポートを提供しています。詳細は公式ウェブサイト(
こちら)からご覧いただけます。