CEOのストレス要因を明らかにしたBCGの調査結果
経営コンサルティングファーム、ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)が発表したレポートによると、多くのCEOが直面しているストレスの要因についての新たな知見が得られました。この調査は、政府公表のデータと実際のCEO500人からのアンケートをもとにしています。「What (and Who) Is Keeping CEOs Up at Night?」と題したレポートは、企業の成長における典型的なストレス要因や社内の関係性がCEOのストレスにどう影響しているのかを探っているのです。
高いストレス水準を抱えるCEO
BCGの調査で特に目を引くのは、調査対象となったCEOの7割以上が臨床的に高いストレス水準にあることです。具体的には、CEOに対して業績ストレスを0から100のスケールで評価してもらったところ、平均スコアは66.7となりました。ストレスの主な原因としては、成長目標の達成やコスト管理が挙げられます。興味深いのは、回答者の57%が短期的な課題に多大な時間を費やしていると述べている点です。これにより、長期的なリスク及び新たな機会に対応する余裕がなくなっている可能性が示唆されています。
BCGミュンヘン・オフィスのマネジング・ディレクター、ジュディス・ウォーレンシュタイン氏は、「短期的な目標を達成しながら、長期的な成長を実現することがCEOにとってのストレス要因となっている」と語ります。また、取締役会のプレッシャーも無視できない要素として浮上しています。
ステークホルダーとの複雑な関係
CEOのストレス要因としては、社内の身近なステークホルダーである「取締役会」が最も目立ちます。調査によると、CEOの約90%は取締役会と強い関係を築いていますが、それが逆にストレスの元になっています。実際に、1/3のCEOは、6カ月前よりも取締役会への成果をより多く示さなければならないとの認識を持っています。
さらに、経営陣もストレス要因の上位に位置しており、特に大企業を率いるCEOにとっては、最大のプレッシャー源であることが明らかになっています。25%を超えるCEOが、CFO(最高財務責任者)の存在を自らの地位を脅かす存在として挙げています。
見過ごされがちなリスクとAIの影響
CEOの業績への意識は高いものの、長期的なリスクに対する視野はまだまだ不足しているようです。BCGは、CEOの交代に関連するいくつかの因子が、現状のストレス要因としては下位に位置付けられていることを示しています。その中には、株主アクティビズムや従業員の不満が含まれています。
株主アクティビズムに関しては、BCGのデータによれば、アクティビスト(物言う株主)のターゲットとなることでCEO交代の可能性が24%も高まるとされていますが、多くのCEOがそのリスクを低く見積もっています。従業員の不満についても、10%の減少があればCEO退任の可能性が12%上昇するとのデータがあるにもかかわらず、CEOの半数未満がその高まりを重要視していないのです。
さらに、AIに関しては、多くのCEOがストレスよりも機会を感じていると言いますが、期待による圧力は今後強まることが予想されます。CEOがAIに関する発表を行うたびに市場の期待が高まるため、より早期の成果を求められる可能性があるからです。
結論
本レポートからは、CEOが自らの役割を孤独に感じていることが浮き彫りになっています。彼らは多くのステークホルダーからのプレッシャーを一手に引き受け、心理的な負担を抱えています。短期的な業績を重視するあまり、長期的なリスクや労働環境の重要性に対しても注意を向ける必要があります。今後、CEOが直面するであろう更なるプレッシャーから脱却するためには、多面的なアプローチが重要と言えるでしょう。