はじめに
2025年3月20日、ノックオンザドア株式会社が運営する「nanacara」は、設立5周年を迎えました同時に、毎年この日を「パープルデー」として、世界的にてんかんに対する理解を深める運動が行われています。この節目を機に、全国195名のてんかん患者及びそのご家族を対象に、生活の質(QOL)と2030年に向けた期待に関する調査が実施されました。その結果、彼らが直面している現実的な問題と未来への希望が浮き彫りになりました。
調査の背景と目的
日本には推定100万人のてんかん患者が存在し、その多くが日常生活に困難を抱えています。本調査では、てんかん患者とその家族がどのような日常を送り、何を望んでいるのかを明らかにするため、具体的なQOL指標を設定し、一般家庭との比較を行いました。調査結果は、医療・福祉・行政・企業等の多方面での理解促進を目指すものです。
調査結果のハイライト
1.
睡眠の実態
調査によれば、てんかん患者の家族の約42.7%が、1日の睡眠時間が5時間以下という結果が出ました。これは一般家庭の約23.7%の2倍にあたります。また、3時間以下の睡眠時間をとる家族も4.2%に上ります。夜間の発作を見守るため目が覚めることが多く、まとまった睡眠が難しいという声が寄せられています。
2.
自由時間の不足
てんかん患者の家族の33.7%が、1日の自由時間が1時間以下であると回答しました。一般家庭では約1.4倍、自由時間30分以下の割合は9.0%となり、リフレッシュする時間がほとんど取れていない現実が示されています。
3.
外出や旅行の制約
調査では、てんかん患者家庭の42.2%が、「1年に1回も旅行に行けなかった」と回答しました。旅行に2回以上行った家庭は22.3%で、一般家庭の31.1%より少なく、発作時の対応や医療機関へのアクセスの不安が影響していることが浮き彫りになりました。
4.
2030年に向けた願い
調査参加者からは、安心して外出できる環境や、学校や職場での理解が進むことを望む意見が寄せられました。「旅行に行きたい」「学校行事を楽しみたい」といった具体的な希望が多く見受けられ、てんかん患者の生活改善に向けた社会の変化が求められています。
未来への取り組み
ノックオンザドア株式会社の代表取締役・林泰臣氏は、「今回の調査結果を通じて、患者や家族の声がどれほど大切であるかを再認識しました。今後も最善のサポートができるよう努めてまいります」と述べています。
結論
てんかん患者とその家族の生活の質向上には、社会全体での理解と支援が不可欠です。本調査結果を活用し、医療機関や企業と連携して、より良い未来を目指していく必要があります。nanacaraはその一環として、今後も患者の声を重視し、共に歩んでいく姿勢を貫いていくことでしょう。