ジーズ開校10周年記念シンポジウム「Bring Back the Garage」の全貌と未来展望

ジーズ開校10周年記念シンポジウム「Bring Back the Garage」のレポート

2025年6月27日、デジタルハリウッド株式会社が運営するエンジニアと起業の学校『G's』（ジーズ）は、開校10周年を記念するシンポジウム「Bring Back the Garage」を開催しました。これは、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS KYOTO 2025」の公式サイドイベントとして位置づけられ、原宿校でのオフライン開催に加え、YouTubeでのライブ配信を通じて、より広範囲な参加者にアプローチされました。

シンポジウムの概要

本シンポジウムは、スタートアップの昨日と明日を見つめるパネルディスカッションを通じて、参加者が新たな学びや視点を得る場となりました。イベントには経済メディアやスタートアップ支援の専門家が登壇し、これからの10年に向けた期待が語られました。

パネルディスカッション①：これまでとこれから

まず、第一部のパネルディスカッションでは、「スタートアップのこれまでの10年・これからの10年」というテーマが設定されました。このパネルには、日本経済新聞社編集総合解説センターの上田敬氏と、株式会社角川アスキー総合研究所の鈴木亮久氏が登壇し、司会進行をデジタルハリウッドの児玉浩康氏が担当しました。

開始早々、上田氏はスタートアップの黎明期である2015年前後の環境について振り返りました。当時は、Googleキャンパス東京やDMM.make AKIBAのような支援施設が創設され始め、大企業によるCVC（コーポレートベンチャーキャピタル）やオープンイノベーションが注目されるようになった時期でもありました。メディアの認識も変わり、スタートアップという言葉が徐々に普及し始めた背景が語られました。

技術の進化とスタートアップの社会的影響

2018年から2020年にかけては、DX（デジタルトランスフォーメーション）の進展が本格的に加速します。上田氏はその時期におけるメディアの変化と、企業間の連携が進んだ背景を掘り下げました。この時期、スタートアップに対する社会の関心が高まり、業界全体が飛躍的に成長した瞬間が印象に残ったと述べています。鈴木氏は、海外スタートアップにおいてFacebookがMetaに社名を変更したことを引き合いに、事業の多角化や新たな挑戦の重要性にも言及しました。

新たな成長モデルへの移行

続いて、コロナ禍を経た2021年以降に注目が集まりました。日本政府はスタートアップ育成のための計画を発表し、外国市場への進出を促進する施策が実施された時期です。上田氏によると、多くの企業が上場以外の出口戦略を模索する中で、スタートアップはより長期的な視点を持つようになったと指摘しました。このように変化する成長モデルに対して、鈴木氏はローカルに根づいたスタートアップの可能性について語りました。

起業家の変化と影響

次に、起業家像の変化についても語られました。上田氏は、大学からの創業支援が進んだことや、ジョブサポートプログラムが充実したことが起業家の多様性を生み出したと指摘しました。世代交代や多様性を生かす新たなスタートアップの育成が重要であり、テクノロジーの進化とともにその在り方も変わっていく必要があると強調しました。

今後の展望

シンポジウムの最後では、これからの10年におけるスタートアップの可能性について語られました。社会課題をどう解決していくのか、その視点が今後の成長のカギを握るという上田氏の見解は、多くの参加者の共感を呼びました。また、鈴木氏はディープテック産業と宇宙産業への期待感を表明し、革新的な発想が次の時代を切り開くことを信じています。