賃貸住宅管理の強化を目指す「日管協預り金保証制度」の取り組み
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会、通称日管協が、このたび独自の保証制度である「日管協預り金保証制度」の拡充を発表しました。この制度では、保証弁済金の上限が最大5,000万円に引き上げられ、賃貸住宅管理業界における健全な経営をサポートする内容となっています。これは、賃貸住宅管理会社が万が一倒産した場合、オーナーが受け取るべき家賃などの預け金が一定額まで保証されるというもので、創設から27年を迎えた信頼の制度です。
特に、最近の経済情勢を受けて企業倒産のリスクが高まっています。帝国データバンクによる報告では、2024年5月には全国で1,016件の倒産が記録され、過去12年で最も多くなりました。仕入れ原価や人件費の上昇、さらには新型コロナウイルス関連の資金繰り支援策の終了など、今後も企業の倒産が続く可能性が懸念されています。このような背景から、日管協の制度拡充は非常に重要な意味を持つと言えるでしょう。
例えば、2024年2月にはある賃貸住宅管理会社が破産し、家賃がオーナーに支払われない事態が発生しました。この場合、オーナーは日々の生活資金や物件関連のローンの支払いに影響を受ける可能性が高く、その後の影響は計り知れません。また、管理会社が倒産すると、オーナーは新しい管理会社を選ぶまで、賃料の集金や設備の点検、修繕などが滞ります。これにより、入居者の住環境にも悪影響が及び、経営者として望まない事態に直面することになります。
このようなリスクに備えるために日管協は、「日管協預り金保証制度」を運営しています。この制度は、保証制度に加入する管理会社に万が一の事態が発生した際に、オーナーに対し未払いの預り金を一定額まで保証弁済します。さらに、もし倒産が発生した場合には、日管協が一時的に管理業務を代行する体制も整えています。これにより、オーナーや入居者の被害を最小限に抑えることが可能です。
また、加入する管理会社は外部機関による厳正な経営状態の審査を受けるため、安定した運営が求められます。オーナーが管理会社を選ぶ際の信頼性を高め、業務運営の信頼性向上にも寄与しています。実際の加入費用は、会員であれば年間保証料6万円と加入預託金5万円が必要で、一般の場合は12万円の年会費と200万円の預託金となります。
さらに、本制度加入者には賠償責任保険が付与されるため、万が一のトラブルにも安心して対応できるようになっています。これらの取り組みの背景には、日管協が賃貸住宅運営の適正化を進め、住環境の向上を目指すという使命があります。
「日管協預り金保証制度」の申し込みは2024年8月26日まで受け付けています。賃貸住宅管理業務の適正な運営を支援するこの制度は、オーナーと入居者双方にとって安心材料となることでしょう。今後の経済情勢を見据え、適切な選択をするための大事な判断材料とするべきです。
本制度の詳細や申し込みについては、日管協の公式ウェブサイトをご覧ください。
日管協預り金保証制度公式サイト
解説動画
日管協預り金保証制度の概要
- - 制度開始日:1998年
- - 加入会社数:639社(令和6年4月1日現在)
- - 申し込み締切:2024年8月26日
- - 加入費用:会員の場合年間保証料6万円+加入預託金5万円、一般の場合年間保証料12万円+加入預託金200万円
- - 申し込み必要書類:直近の決算書類など詳細は公式サイトにて確認してください。