大阪万博でのアバター導入
2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、綜合警備保障株式会社(ALSOK)とNTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)が共同で、アバターを活用した来場者対応の効率化を目指す取り組みを発表しました。この新たな試みは、来場者の応答精度を向上させ、業務の円滑化を図ることを目的としています。
背景と目的
現在、多くの産業が少子高齢化と労働人口の減少に直面しており、特に警備業界もその影響を受けています。このため、AIやアバターを取り入れた省力化と効率化が急がれています。しかし、警備業務に関連する情報はセキュリティ上の理由から秘匿性が高く、クラウドサービスを利用することが制限されていました。
この状況を改善するために、ALSOKはNTT Comの大規模言語モデル「tsuzumi」を活用します。これは、特定の環境で安全に運用できるよう設計されており、警備業務に特化した軽量のシステムです。
取り組みの概要
本取り組みは、万博の「いのちの未来」パビリオンに三台のアバターを設置し、来場者からの問い合わせ対応や立ち入り禁止エリアの案内などを行う内容で構成されています。
1. アバターによる来場者対応
アバターを用いることで、限られた警備要員でも効率的な案内が可能となります。自律的に応答するアバターが初期の問い合わせを処理し、複雑な質問についてはALSOKのオペレーターが対応します。アバターには、AVITA社が提供するAVACOMが使用される予定です。
2. 「tsuzumi」による業務効率化
従来、来場者の問い合わせを詳しく分析するためには、警備スタッフの手作業による履歴のまとめが必要でしたが、今後はアバターと来場者の会話内容を「tsuzumi」で要約することで、このプロセスを大幅に効率化する予定です。さらに、収集したデータに基づいてアバターの対応能力を向上させるチューニングも行います。
このようにして、より多くの場面でアバターが応答できるようにし、案内業務の効率化を図ります。問題となるプライバシーや秘匿性が高い情報を扱う場合でも、閉域環境を活用することで安全な運用を図ることができます。
期間と各社の役割
本プロジェクトは、2025年4月1日から10月13日までの間に実施され、ALSOKは全体のマネジメントやアバターの運営、有期オペレーターの対応を行います。一方、NTT Comは「tsuzumi」による要約システムの構築や対応レポートを提供する役割を担います。
今後の展望
本取り組みを通じて効果が確認され次第、「tsuzumi」の特性を活かして、警備業界全体の業務を効率化するような広範な応用が期待されています。ALSOKとNTTの共同プロジェクトは、社会や産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく重要なステップであると言えます。