急増するホスピス型高齢者住宅、その実態と特徴を紐解く
近年、介護・福祉分野において特に注目を集めているのが、がん末期や難病患者向けのホスピス型高齢者住宅です。株式会社TRデータテクノロジーが行った最新の調査によれば、2025年1月時点に続く再調査の結果、ホスピス型住宅が全新規開設の約10%を占めることがわかりました。この動きは、特に高齢者福祉の現状や医療の提供環境が変わりつつあることに起因しています。
ホスピス型住宅の定義と特性
ホスピス型住宅とは、主にがん末期の患者および治癒が困難な病気を抱える方を対象にした民間の介護施設です。これらの住宅は、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅として運営されることが多く、専門的なケアが提供されます。現在、全国において多種多様な形態のホスピス型住宅が存在していることが確認されています。
開設動向と大手事業者の影響
調査によると、主に「がん末期や難病患者向け」を運営する大手事業者の中で、アンビス株式会社が業界最大手として名を馳せ、続いて株式会社スタッフシュウエイが急成長を遂げています。特にスタッフシュウエイは、前回の調査から順位を2位に上げる驚異的な成長を示しています。また、株式会社サンウェルズが運営するパーキンソン病専門のホーム「PDハウス」は、他の事業者とは異なるテーマで注目されています。
新規開設の状況
全国的にみても、ホスピス型住宅の新規開設は年々増加しています。特に関東エリアにおいては、全体の43%を占め、ホスピス型住宅は東日本地域で約80%を占めるという傾向が見て取れます。これに対して、その他の地域では開設が少ないことが背景にあるようです。
料金の実態
ホスピス型住宅における平均月額利用料は12.7万円であり、相対的に低廉な費用で提供されています。これに対し、居室の面積は小さめですが、要介護度は高く、訪問看護が併設されているケースも多く見受けられます。このように、ホスピス型住宅は集中的なケアを必要とする入居者に対して特化したサービスを提供しているのです。
緩和ケア病棟との関係
実は、ホスピス型住宅が増加する背景には、緩和ケア病棟の新設数が減少しているという現状もあります。1990年に制度化された緩和ケア病棟は、がん末期や難病患者向けに専門的なケアを提供するところです。しかし、近年のデータでは、ホスピス型住宅の定員数が緩和ケア病棟のベッド数を超え、需要が変化していることがわかります。
まとめ
ホスピス型高齢者住宅の増加は、医療と福祉の新たな接点を示しています。がん末期や難病患者へのケアが充実する中、高齢者の生活の質も向上しつつあります。今後も、このトレンドがどのように進化していくのか、関心を持って見守る必要があるでしょう。